1人暮らしはコンビニ弁当や外食に頼りがちで体重管理が難しい。単身赴任の中高年に限ったことかと思いきや、大学生でもリスクがあるようだ。
大阪大学キャンパスライフ健康支援センターの研究グループは、2007~15年度に大阪大学に入学した学生2万6394人(男性1万7540人、女性8854人)の在学期間中の健診データから、入学時の居住形態と体重増加リスク(登録時から10%以上)と体格指数25以上の肥満リスクとの関連を検討している。
対象者は入学時に(1)自宅住まい、(2)1人暮らし、(3)寮住まい、(4)その他(親戚の家に居候など)に分類され、平均3年間追跡された。
その結果、追跡期間中に男子学生1889人(10.8%)、女子学生1516人(17.1%)で体重の増加が認められた。
居住形態別に解析した結果、自宅住まいを1とした場合、1人暮らしの男子学生の体重増リスクは1.24倍、肥満リスクは1.18倍に上昇していた。女子学生ではそれぞれ1.76倍と1.67倍に上昇。男子学生よりも影響が大きいことが示されている。
半集団生活ともいえる寮住まいのリスクは、男子学生でそれぞれ1.41倍と1.06倍、女子学生で1.66倍と1.33倍という結果だった。肥満まではいかないが体重増加のリスクはあるわけだ。
研究者は「自粛の影響で肥満や生活習慣病の増加が懸念される。1人暮らしの学生も健康管理の対象とすべき」としている。
さて、19年度の国民健康・栄養調査(20、21年度はコロナ禍で中止)によると、20代の「自分の食生活に影響を与えている情報源」のトップは、男女とも「家族」だ。
実際、20年近く、家族(おそらくは母親)から食事の世話を受けてきた人間が、いきなり健康的な食事に気を配れといわれても無理がある。1人暮らしのストレスもあり、好きな物を自由にむさぼる誘惑は大きい。
ただ、若い頃の悪しき食習慣が中年以降の健康リスクになることは確実だ。面倒でも定番のコンビニ弁当を「量より質」で選ぶことから始めてみよう。
(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)