書けば書くほど、
自分の新しい価値を発見できる

 今、誰もが、数えきれないほどの問題を抱えている。

 コロナ禍、デジタル変革、働き方改革、副業解禁、ジョブ型雇用、テレワーク、AI社会の到来……といっためまぐるしい変化の中で、これまで学校で教えられたことや、仕事で積み重ねてきた経験がほとんど役に立たない……。

 こうした人生の複雑さに耐え、それでも果敢に生きていこうとする人たちが、コピーライティング技術を使い始めると、他人の痛みを深く理解し、自分の痛みとしてとらえ直すようになる。

 そして、その痛みを解消するために、自分の内に「何か提供できる価値はないか?」と探究することで、今まで言葉にできなかった自分の「才能」を言葉にできるようになる。

 すると、その言葉をきっかけに、自分の「才能」を必要とする顧客に出会えるようになる。

 つまり、人を助けようという意図で、書けば書くほど、どんなに時代が変わっても、自分の内に、新しい価値を発見し続けられるようになるのだ。

 この言葉の技術は、短期的な事業成長を会社にもたらすだけではなく、長期的な経済成長を地域にもたらす。

 学校に通う子どもたちが、表現力を身につけることによって、今まで忘れ去られていた、自分たちの学校の「強さ」や地域の「よさ」、また自分が夢中になっている分野の「喜び」が探究され、周りへ伝達しやすい言葉が明らかにされていく。

 その過程で、子どもたちの内なる才能が浮かび上がり、それを必要とする人々や会社から求められるようになっていく。

 このように、今まで忘れ去られていた国語を思い出すプロセスで、富の源は、自分の外ではなく、「内」にあることに気づく

 だから今、私たちが経験している日々が、どんなに不条理に感じられても、それは私たちの国語を取り戻し、自分の意志で生きる力を甦らせるための魔法のような時間なのである。

 それでは本書で、未来の富の源泉に触れる、コピーライティングの世界にご案内しよう。

本書の構成

 本書は、私、神田が1995年から四半世紀以上にわたって培ってきたコピーライティング技術の集大成である。

 これからコピーライティングを学びたい人の「教科書」であるとともに、経験者には「実践マニュアル」として使えるように構成している。

 コピーライティング未経験者や経験の浅い人は、最初から読んでいくことを推奨する。すでに実践中の人は、必要な部分を活用することで、訴求力の高い=売れるコピーが書けるようになる。

 なぜ、この構成にしたのか?

 コピーライティングは「技術」なので、一足飛びに上達するわけではなく、ステップがあるからだ。

 まず、大半の人は、1.コピーライティングの技術の存在を知らない。次に、2.コピーライティングを学び、コピーがひととおり書けるようになる。その後、3.技術を磨き、売れるコピーが書けるようになる。

 多くの人は1.から3.にいきなり行こうとして挫折する。柔道で、受け身の練習もろくにせずに、ともえ投げをやろうとするようなものだ。

 基礎をしっかり身につけることが、売れるコピーライティングへの最短距離となる。各章の構成とポイントは次のとおりである。

各章の構成とポイント

 次回は、本書の共著者である衣田順一氏に、物心両面を豊かにするコピーライティングの魅力を聞こう。

(本原稿は、神田昌典・衣田順一著『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』からの抜粋です)