いかに「国語の不完全性」が、
あなたの可能性を制限してきたか
もしも国語の授業で、私たちがコピーライティングを学んでいたとすれば、4つの能力がすべて磨かれるので、次のようなことが、当たり前にできるようになる。
《コピーライティング力で広がる可能性》
●学生時代には……
□行きたい学校に行くことをあきらめずに、奨学金に応募する文章を、自信を持って書けるように
□通っている学校や住んでいる場所の魅力を掘り起こし、遠くの人にまで届くよう発信できるように
□夢中になっているプロジェクトを立ち上げるため、クラウドファンディングで協力者を集められるように
□採用面談で、自分が提供できる価値をわかりやすく伝えられるように……
●さらに社会人になってからは……
□自社の理念や商品を深く理解し、新しい顧客を開拓するために効果的な文章を書けるように
□今取り組んでいるプロジェクトを広く告知するために、マスコミ向けにプレスリリースを発信できるように
□政府が提供する様々な補助金や助成金などに応募するため、整理された文章を書けるように
□スタートアップ事業の資金調達のために、投資家に説得力あるプレゼン資料がつくれるように
□SNSでシェアされる投稿や映像シナリオを自由に書き、影響力を持てるように……
このように読解力を超えた国語教育を受けられていたら、今頃は、誰もが経済的不安から解放され、豊かで創造的な社会に生きていただろうと思えることばかりだが……、
まだ遅くはない。
読者に、朗報がある。
このコピーライティングという専門技術を習得するのは、実は難しくない。公認会計士や弁護士や医師などの資格試験に合格するには膨大な書籍を読まなければならないし、美容師・理容師、理学療法士や作業療法士などが一人前になるほうがよっぽど長い時間がかかる。
また、プログラミングや英語を習得するには新しい言語を学ぶ必要があるが、コピーライティングは、使い慣れている国語を研鑽するスキルだから、大いなるアドバンテージがある。
しかも、あなたがすでに持っている専門的経験や技術を、コピーライティングの技術により、自らの価値を明確に伝えられるようになると、価格競争に陥らないし、顧客にも困らなくなる。
唯一のボトルネックは、あちこちにノウハウが散在していることだ。
今、プロのコピーライターたちが、バイブルとして手に取っているのは、『ザ・コピーライティング──心の琴線にふれる言葉の法則』(ジョン・ケープルズ著、神田昌典監訳、齋藤慎子+依田卓巳訳、ダイヤモンド社、2008年)である。この原書の初版は1932年。実に90年読み継がれている伝説の名著で、現在でも売上に直結する言葉の宝庫である。
だが、さすがに変化の激しいデジタル時代に、この一冊だけで成果を挙げるには、限界がある。
また日本では、数々のコピーライティング関連書が出版されているが、それらは、かつての原理原則を、より効果的に使うための実践書だ。
私自身も、『稼ぐ言葉の法則─「新・PASONAの法則」と売れる公式41』(ダイヤモンド社)、『禁断のセールスコピーライティング』(フォレスト出版)、『売れるコピーライティング単語帖 ─ 探しているフレーズが必ず見つかる言葉のアイデア2000』(共著、SBクリエイティブ)などの著書を出してきたが、それぞれコピーライターやブロガーを対象とする指南書の範疇を大きく超えることはなかった。
コピーライティングは、それだけでめざましい効果が上がるので、今まで長い間、孤立した分野で発展してきたが、デジタル時代では、もはやそのような「引きこもり」は許されない。
効果的なコピーをつくり上げるには、商品開発や事業戦略にまで関わっていく必要があるのだ。
そこで今、デジタル環境下の複雑な世界で、未来を切り拓く「言葉の紡ぎ手たち(コピーライター)」が頼れる教科書を、ゼロから著すことに挑戦したのが、本書『コピーライティング技術大全──百年売れ続ける言葉の原則』である。