「新しい資本主義」論議で
抜け落ちている財政の役割
新自由主義からの決別を掲げる岸田文雄首相のもと、「新しい資本主義実現会議」を舞台に「新しい資本主義」構想の具体化の議論が進んでいる。
10兆円規模の大学ファンドや半導体産業再構築の基金設立などが提案され、これまで以上に財政の役割が重視されることになりそうだ。先の総選挙でも財源論議は抜きで与野党が財政支出中心の公約を競った。
背景にはMMT(現代貨幣理論)に象徴される財政赤字容認の流れが強まっていることがある。
月刊誌に矢野康治財務次官が異例の「バラマキ批判」の論文を寄稿したのも、財政健全化が後ろに追いやられている危機感からだろう。
コロナ後の財政政策はどうあるべきなのか、まずは財政の役割をどう考え、それがきちんと機能する条件から問い直す必要がある。