中国不動産バブル崩壊で世界はどうなる?日本の金融危機から学ぶ「深刻度」写真はイメージです Photo:PIXTA

中国で金融危機が発生したら何が起きるのかを予測するためには、日本の経験を復習しておくことが有益だ。日本の過去の金融危機を振り返ってみたい。(経済評論家 塚崎公義)

中国での金融危機を
懸念する声が

 中国で不動産バブルが崩壊して金融危機が発生すると心配している人は多い。筆者は中国の専門家ではないが、多くの人が心配しているのであれば、そうした人々に日本の経験を復習しておいてもらうことが有益だと考えている。

 中国に詳しい人は必ずしも過去の日本に詳しくないかもしれないが、高度成長から安定成長への移行(石油ショックは契機でしかなく、産業構造の変化が底流にあったことなど)、金融危機など、日本のことを知っていると中国の将来が予想しやすい、という場合も少なくない。

不動産の暴落がさらなる暴落を招く
メカニズムとは

 不動産価格は、ひとたび暴落を始めると、暴落がさらなる暴落を招くメカニズムが働きやすい。特に、値上がり期待で買っていた人が多いバブル的な状況が反転したときは、そうした傾向が強い。

 自分で住んだり、賃貸して家賃を稼いだりする目的で不動産を購入した場合には、価格が暴落しても売るインセンティブは強くないだろうが、値上がりしたら売ろうという目的で購入した場合には、値下がりする前に急いで売ろうとするインセンティブが働く。つまり、投機目的の買い注文が止まり、売り注文が増加することになる。

 実需の買いが大きく落ち込む可能性もある。日本では不動産を現金で購入する人が少ないので、銀行が不動産担保融資に慎重になると、買いたくても買えない人が増える。もっとも中国では、現金で不動産を購入する人が少なくないようなので、だとすれば日本に比べて影響は軽微かもしれない。