揺らしても動かない部分が自分の軸になる

太刀川 そうすると、新しいものにまったく広がらず、小さく納まってしまうんだよね。これはあらゆるものがそうで、学校の校則だって50年前のルールが今でも有効だったりする。僕らみたいな髪型だと、昔は即アウトですよね。

細尾 本当に。

太刀川 でも、揺らしても動かない部分ってあるじゃないですか。揺れ動かないということは屋台骨で、これはちゃんとそこの文脈をリスペクトして残さなければならない。そんな中で細尾君が、その縦揺れ・横揺れの中でも絶対にビクともしないと思ったのは、どこですか?

細尾 妄想して、どう揺らして火をつけるか。たとえば僕が「株式投資をやります。投資で世界を変えます」と妄想しても、あまり意味がないし、現実にできるとも思えない。やっぱり西陣織という軸があるので、その軸を中心に置きながら、それをどう揺らしていくか。伝統工芸に限らず、すべての企業や人にはルーツがあると思うので、その軸を見極めることができたら、あとはそれを縦と横で揺らしていくことで、新しいものが生まれたり、進化させることができると考えています。

太刀川 同感です。変わるものと変わらないもの。変異と適応の先に未来を目指すのが素直な姿勢だと思うんですよね。

つづく