自民党政治の問題は「Too Little」「Too Late」「Too Old」

 自民党という「包括政党」は、「カップラーメンから人工衛星まで扱う」といわれる「総合商社」のような存在だ。社会に存在する政策課題については、安全保障から、社会民主主義的なものまで、ほとんどすべて網羅している。その政策の幅広さは、岸田政権になってより顕著になっている。

 自民党政治の問題は、個別の政策の「有無」ではない。ほとんどすべての政策に取り組んでいながら、それが「Too Little(少なすぎる)」「Too Late(遅すぎる)」そして「 Too Old(古すぎる)」ことである。それは、コロナ禍で社会の「IT化」「デジタル化」が他国と比べて遅れていることが明らかになったように、国民に認識されるようになってきている。

 自民党が「Too Little」「Too Late」「Too Old」となる理由は、まず自民党の政治家が高齢化しているからだ。若手の代表と呼ばれる福田達夫氏でも、54歳なのである。

 まず、「IT化」「デジタル化」など理解できない古さが問題だ。また、自民党は高度経済成長を実現した政党であるために、その成功体験をいまだに忘れられないことも問題だ(第229回)。

 そして、中央集権体制も、細分化する政策課題に対応できなくなっている。社会保障や福祉など、地方主導で迅速に現場のニーズに合わせて対応するほうが、効率が良くなっている。自民党の全国一律の政策が機能しなくなっているといえる(第209回・p4)。

立憲民主党は誰が代表になっても将来性なし!結党自体が間違いだった理由本連載の著者、上久保誠人氏の単著本が発売されています。『逆説の地政学:「常識」と「非常識」が逆転した国際政治を英国が真ん中の世界地図で読み解く』(晃洋書房)

 従って、これから日本に必要なのは、「何でも反対」の野党ではない。自民党の「Too Little」「Too Late」「Too Old」を厳しく批判し、「もっと改革を大胆に進めよ」と訴える野党だ。そして、改革を素早く、的確に進めるために、地方主権の推進を主張する野党だ。

 衆院選で躍進した、日本維新の会は大阪中心の地域政党から、全国区の政党に生まれ変わるために、国民民主党との協力関係を進めることを確認した。両党は、個別の政策で協力するのはいいが、それ以上に地方主権を軸とした、日本の「新しい国家像」を議論する場を設けてもらいたい。

 新しい代表が決まっても、おそらく参院選まで共産党との共闘を進めるのかやめるのか、迷走を続けるであろう立憲民主党に対して、私は「軽視しない、無視する」という、日本政治の伝統的な言葉を贈りたい。それよりも、日本維新の会・国民民主党のほうに、よほど未来の可能性があるのではないだろうか。