続く22年卒採用では、前年の経験を踏まえた変化が企業側に見られました。

 まず、前年オンライン化が間に合わなかった企業を中心に活用が広がりました。いち早くオンライン化を進めたのは大都市圏の大手企業や情報通信業、ベンチャー企業などが中心でしたが、実施率が高まるにつれ、知見やノウハウも広がり、中小企業や地方企業においてもオンライン化が進みました。

 そして、新たにインターンシップやOB・OG訪問にもオンラインを導入するなど、用途も広がりを見せました。

 一方で、対面とオンラインの使い分けも進みました。今年5月時点での調査では、「初期選考は対面のみで行う」とする企業は3割程度にとどまった半面、「最終選考を対面のみとする」企業は6割に上りました。「オンラインでも問題ない」との手ごたえを得た初期選考はオンラインのみにシフトし、じっくり相互理解を深めたい最終選考は対面で、と使い分ける動きが強まっています。

就職にかかる費用が減少する一方で、
企業との接点は増加

 これら企業側の動きを受けて、学生側のオンラインへの対応も変化を見せています。

 21年卒の学生は、就活スタート時に新型コロナウイルスが急激に感染拡大し、混乱。当時の調査では、「対面でのコミュニケーションを想定して練習してきたから、オンラインでの就活方法がわからない」「PCが接続できない」「オンライン面接ではどこを見て話せばよいかわかならい」など、不安の声が多く聞かれました。

 しかし、緊急事態宣言を受けて大学の授業もオンライン化され、否応なく日常的にオンラインでのコミュニケーションを行わざるを得なくなったことで、オンラインを活用した就職活動も徐々に浸透。就職活動を終えるころには「オンラインのほうが緊張しない」「圧迫面接もない」「移動にかかる時間がなくなり効率的に活動できる」など、好意的な声が増えました。