続く22年卒の学生は、「就職活動は対面が当たり前」という意識が薄く、会社説明会や一次面接においては「オンラインのほうがいい」との声が多くなりました。特に地方の学生から「移動時間がかからない」「交通費や宿泊費などの費用がかからなくなった」点を評価する声が挙がっています。

 実際に、就活にかかる費用は劇的に減少しています。就職活動全体にかかった平均金額を比較したところ、22年卒の費用は21年卒に比べて4割も減少。金額にして1万6889円も減少しています。

一方で、「各就職プロセスの活動量」は総じて増加。対面での説明会やセミナー、面接などの参加社数は減少しましたが、Webでの企業説明会やセミナーに参加した社数、Web上での面接を受けた社数が増え、対面の減少分を大きく上回っています。そして、就活にかかる時間は、前年とほぼ変わっていません。

 つまり、「前年とかかる時間は変わらずより多くの企業と接点が生まれた一方で、費用は下がった」ということ。オンライン化により、企業との出会いにかかるコストは飛躍的に効率化しています。

企業理解を左右するのは
コミュニケーションの質と頻度

 もはやオンラインを活用した就職活動が当たり前になったものの、21年卒、22年卒の採用活動を経て、新たに見えてきた「オンラインならではの課題」もあります。

 オンラインでは、企業の社風や文化、社員の人柄などが学生に伝わりづらいため、対面で会って説明することで補足していました。ただ、企業側が「学生の人柄や魅力などといったノンバーバル(非言語)情報を把握しづらい」という点は、大きな課題でした。21年卒採用の現場では、「オンラインだと醸し出す雰囲気がつかめない」「個性がつかみづらいので、選考が進んでも1人ひとりの学生が覚えられない」などの声も上がっていました。