店長からの指示をもとに
「イシュー」を考えてみよう!

・先週、うちのレストランがテレビに取り上げられた
・その日以来、お客さんがいつもの3倍になっている
・どうやら近くの大学から、お客さんが来るようになったらしい
・ただ、お店がうまく回っておらず、料理の提供が前より遅くなった
・実際、常連客の田中さんから「料理が遅い!」とクレームがあった
→店長からの指示「何か対策を考えといてくれ」

【9割の人が知らない】<br />デキるビジネスマンが呼吸するように使うキーワード「イシュー」の本質

マモル:え、簡単じゃないですか! ボクだったら、こんな感じのイシューと結論にしますね!

イシュー
「常連客の田中さんからクレームが出ないようにするには?」

結論
「スタッフ内で田中さんの顔を覚えて、なるべく早く料理を出す」

サラタメ:おぉ! 悪くないですけど、まぁ30点くらいですかね(笑)。

マモル:めちゃくちゃ悪いじゃないですか! どこが微妙でしたか?

サラタメ:ちょっと視野が狭くなっちゃってますよね。常連の田中さんだけにとらわれず、「お店の売上」くらい、ちょっと大きなスケールのことまで気にかけてみるといいかもです。

よいイシューの特徴

 よいイシューは「スケールがちょうどいい」です。多くの人が、目の前のトラブルをとにかく早く解決しようと、視野が狭くなりやすい。陥りがちな落とし穴です。ですから、基本的にはパッと思いついたイシューより、ややスケール大きめのものを設定すると、よいイシューになります。

 レストランの事例でいえば「常連客の田中さん」だけにとらわれず、「お店の売上」まで考える、俯瞰した視点に切り替えてみましょう。きっと新たな事実に着目できるはずです。

 たとえば、

・田中さんは昔からの常連ではあるけれど、実は月に1回くらいしか来店していない
・新規の大学生客は週2回くらい来てくれる

 以上の事実がわかれば、お店の売上という観点で大事にすべきは、常連の田中さんより、新規の大学生かもしれません。その場合、こんなイシューと結論のセットが考えられます。

イシュー
「テレビの放映効果で3倍に増えたお客さんの数を、このまま継続するには?」

結論
「増えたお客さんがどんな人たちかを把握し、その属性に合わせたメニュー&サービスを展開する」

 もしアンケートを実施し、「増えたお客さんはほぼ大学生」とわかれば、「学割ランチメニューを新設する」「大学の授業スケジュールに合わせた営業時間にする」という対策が打てるかもしれません。今までにない新たな施策が生まれる、ちょうどいいイシューの設定です。

 一方、「今後、このレストランはどうあるべきか?」というイシューは、スケールが大きすぎます。

 20~30年先を見すえる経営者レベルならそれでもいいですが、現場レベルのサラリーマンであれば、明日からの行動につながるスケールでイシューを設定しましょう。

サラタメ:もしかすると、店長は元々「田中さんのクレーム処理をしてほしい」という意図で指示を出したのかもしれません。でも、そう指示を受けながら、改めて自分の頭で状況を整理し、違ったイシューを設定できる人は、間違いなくデキる人です。

マモル:まる投げされたような仕事は、改めて自分でイシューを整理してみないといけないんですね!

サラタメ:まさにそうです! それで、もし上司から与えられたイシューの変更がありそうなら、「思考のピラミッド」をつくり始める前に、「私なりに、こんなテーマで考えてみようと思っているんですが」と事前に相談してみましょう!(しょうもないことですが、上司や同僚との会話で「イシュー」という言葉をそのまま使うと、あからさまに意識高い系に見え、敬遠される可能性があります。無難に「テーマ」くらいに言い換えておきましょう)

マモル:なるほど! そこでイシューを共有しておけば、「結論」「理由」「根拠」全部揃ってから、「そもそもイシューが違う」とひっくり返されるようなことがなくなるわけですね。

(本原稿は、サラタメ著『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン』からの抜粋です)

〈まとめ〉
・イシューはめちゃくちゃ重要。「結論」より先に、入念に考えるべき
・イシューをミスると、「思考のピラミッド」すべてが台なしになる
・目の前のトラブルにとらわれた、視野の狭いイシューになりがちなので注意
・とはいえ、スケールが大きければいいわけではない
・明日からの行動につながるイシューが、ちょうどいいイシュー