多くのビジネスパーソンの支持を集める、登録者60万人超えの「サラリーマンYouTuber」、サラタメさん。
注目の処女作『真の「安定」を手に入れる シン・サラリーマン──名著300冊から導き出した人生100年時代の攻略法』は600ページ超えの超大作で、まさに“鈍器本”だ。
「仕事がデキない」「残業だらけ」「上司とソリが合わない」「転職したい」「老後のお金が不安」といった、人生100年時代を生きるサラリーマンの悩みを、まるごと解決してくれる本書から、その一部を抜粋して紹介する。

【勝利のカギは「バカなる思考」】<br />なぜかいつも変人が勝ってしまう合理的な理由Photo: Adobe Stock
〈結論〉
・ライバルに圧倒的な差をつけたいときには「バカなる思考」
・「バカなる思考」とは、「バカな」から始まり「なるほど」で終わるアイデア
・部分的にも全体的にも合理的な思考は正しいが、簡単にマネされてしまう
・自分が提案するときも、提案を受けるときも、「バカなる思考」は有効

マモル:タイトルにある「バカなる思考」ってなんですか(笑)!?

サラタメ:圧倒的に勝つための思考法です!「バカ」とかついちゃってますが、冗談抜きで超大事な戦略的思考法なんです。

マモル:ここまで教えてもらった「思考のピラミッド」「イシュー」みたいな話よりも大事なんですか?

サラタメ:それらは、基礎知識みたいなものです。再現性が高く、80点くらいの成果を残すための知識で、最初はそっちを重視したほうがいいです。ただ、本当に革新的な「120点!」と評価される仕事をするには、「バカなる思考」の組み立て方も知っておいたほうがいいです。

「バカなる思考」という賢者の盲点

「バカなる思考」とは、最初聞いたときは「そんな“バカ”な」と思うのですが、よくよく最後まで聞いてみると「“なる”ほど」とうなずける、そんなアイデアを繰り出す思考法です。

 部分的には「非合理(バカ)」で全体像を踏まえると「合理的(賢い)」アイデアなので、下図右下の「賢者の盲点」を突くことができます。

【勝利のカギは「バカなる思考」】<br />なぜかいつも変人が勝ってしまう合理的な理由「バカなる思考」という賢者の盲点 出所:楠木建著『ストーリーとしての競争戦略̶優れた戦略の条件』(東洋経済新報社)をもとに一部改変

マモル:むむ、まったく意味がわかりません(笑)。というか、部分的に見ても、全体的に見ても合理的な「普通の賢者」が、ベストなんじゃないですか?

合理的すぎる落とし穴

 日頃仕事をしていて、非合理(バカ)なアイデアでホメられることなんてそうそうないので、多くの人が当然のごとく「普通の賢者」を目指します。

 これは非常に正しい思考法のように思えますが、実は正しすぎるのです。

「正しすぎる思考法」は、言い換えると「誰もがマネしやすい思考法」にもなりえるということです。

 どこからどう見ても合理的な考え方は、根拠となるデータも揃いやすく、すぐ資料がつくれます。上司にも説明が簡単で、社内の決裁もスルスル通っていくでしょう。

 ただ、同じようなことが、他部署でも競合他社でも、起きている可能性が高いので要注意です。

 つまり、似たようなアイデアの商品・サービスが、遅かれ早かれ同じような経緯で生まれることになり、その先に待つのは熾烈な競争地獄。短期的には非常に進めやすい仕事ですが、「マネっこ競争」「価格競争」に飲み込まれることを踏まえると、長期的には負けが約束された仕事になってしまうのです。

サラタメ:合理的すぎる思考は、決まった答えがある仕事や、80点くらいの成果を目指す仕事のときには有効です。一方、ライバルと競争をして、圧倒的に差をつけて勝ちたい場合には不向きだったりするんです。