富士急は、重傷者を出したド・ドドンパ以外のアトラクションは、順次停止して安全を調べる「安全総点検」が完了したとして運転を再開した。首都圏でのテレビCMも11月末まで放映し続けた。

 長崎知事は12月1日に臨時記者会見を開き、ド・ドドンパ以外のアトラクションの運転停止を要請。「来園者の負傷の原因などが特定できていないまま運行を続けている」と批判し、「法的措置もあり得る」と言及した。

 県建築住宅課はダイヤモンド編集部による取材に「富士急側の言う『安全総点検』について、県庁に来て説明するよう求めているが、行われていない」と指摘。県有地をめぐる対立との関係については「一切ない。あくまで利用者の安心安全を求めている」と述べた。

 一方で富士急ハイランドの広報担当者は「11月にド・ドドンパ以外で判明したけが人2人とアトラクションの因果関係がないと判断したこと、安全総点検や試運転で安全性が確認されていることから、これらを理由にした県の運転停止要請には応じない」と説明した。

 県への報告の遅れについては「アトラクションとの因果関係が不明なため報告の必要はないと考えていたが、8月の時点で安全確認のためド・ドドンパの運転を停止することもあり、念のため県に報告したところ、4人のけが人について県にリリースされてしまった」と話す。

 富士急が10月20日まで設けた相談窓口に寄せられた利用者のけがの申し出は計176件あった。このうち、アトラクションとの因果関係が高いものは10件、因果関係がないものが81件。調査中が85件と最多だ。因果関係が高い10件のうち2件は「FUJIYAMA」と「ええじゃないか」とド・ドドンパ以外の乗客であり、原因究明はまだ途上である(冒頭のけが人14人には、相談窓口経由でない者4人を含む)。

 県有地をめぐる問題は政治的な背景が色濃く反映されているが、アトラクションでけが人が発生する事態は、全く別次元の問題だ。その点、富士急側の分がかなり悪そうである。