まず現行制度では、新築は最大40万円が13年間の520万円が最大となる。これが、35万円×13年で455万円(最大520万円の87.5%、65万円減)となる。コロナ前と比較するなら、控除額の最高は400万円だったので、実質的には拡大したと考えてもいいだろう。また、中古なら、控除総額の最高は以前の200万円から210万円に実質的に増えている。
いずれにしても、この制度には条件がある。まず、年収3000万円超はこの住宅ローン控除を受けられない。また、居住していることが条件なので、13年以内に引っ越すならば、居住期間しかローン控除の対象にならない。そう考えると、新築なら住み替えまでの年数×5万円(=40万円-35万円)の違いでしかない。あまりこの税制を重視する必要性は高くはない。この程度の金額なら、十分回収する方法があるので、紹介しておこう。
減税枠の縮小分を取り戻すには
住宅ローンのコスパ改善が有効
住宅ローンは、単純にコストパフォーマンスが良いものを選びたい。しかし、そのコストの内訳が明確に分かっている人は少ない。コストの内訳は以下の4つだ。
1 金利総額
2 融資手数料
3 保証料
4 団体信用生命保険料
1の金利だけで判断している人が多い。住宅ローン商品が多様化している中、それだけで決められれば楽ではある。しかし、過去において、変動金利よりも2年固定金利が安い時期があり、顧客が一斉にそちらに流れたことがあったとしても、それはバランスを欠いていたかもしれない。
2の融資手数料は通常借入金額の2.2%に設定されている。1億円借りるなら220万円となり、事務手数料的な意味合いとしてはかなり高額である。この融資手数料が安く設定されている金融機関は、金利がやや高い。
要は、上記1と2の合計でコストを計算しないと意味がないのだ。その際には入居期間の1と2の合計を計算する必要がある。これで、100万円ほどコストが変わってくることになる。つまり、金利、融資手数料、想定居住期間で最適解が計算できるということだ。
3の保証料は、請求する銀行とそうでない銀行がある。保証料は借り手ではなく、貸し手の銀行を守るための費用なので、そもそも借り入れをする人に請求するのはおかしい。こうした銀行は検討順位を下げておいたほうがいい。
4の団体信用生命保険料(以下、団信)は無料のところもあるが、大事なのはその意味合いを理解することだ。これは、住宅ローンを借りた人が死亡した場合に他の家族では返済ができない場合があるので、死亡保険金を残債分だけ掛け続けるというものだ。これが生命保険であり、多額の住宅ローンの残債が免除されることから、住宅ローンを借りたら、まずやるべきことは「生命保険料の見直し」となる。団信で過剰に設定されている生命保険金を適正化させたほうが良いのだ。
実際、生命保険の見直しは2割の方が行っており、その満足度が高い。端的に生命保険料の減額に成功しているからである。