カタリーナ

美晴 「じゃあ、今回の研修はどうなります? 上司が行けって言うんだから、業務命令ですよね?」

カタリーナ 「それは今後の業務で必要になることを想定した上での業務命令であるかどうか、ちゃんと確認した方がいいわ。指定を受けた社外研修を休日に参加するように上司から指示され、ちょっとしたレポート提出もあるとなれば、時間外手当が付いてしかるべき話ね」

美晴 「ちょっと聞きにくいけど、自己啓発補助を無駄にしたくないから、確認してみます」

カタリーナ 「そうね。コミュニケーションって難しいところがあって、相手の意図を察しているつもりが、全く誤解だったなんてことはよくあるから。今回の研修に限らず、曖昧なところがあれば、その場でちゃんと確認する習慣をつけた方がいいわ」

美晴 「はい。ちなみに、休みの日に上司に参加を命じられて終日研修に参加するような場合、振り替え休日は取れるんでしょうか?」

カタリーナ 「振り替え休日の規定が就業規則にあれば可能よ。会社としても、残業代を支払うよりも振休で対応してほしい、ってこともあるんじゃないかしら? 平日に受けられない研修もあるでしょうから」

美晴 「なるほど。わかりました!とにかく、ちゃんと上司に聞いてみます」

<カタリーナ先生のワンポイント・アドバイス>
●研修・教育訓練について、業務上義務付けられていない自由参加のものであれば、その研修等の時間は労働時間に該当しない。ただし、形式上は自由参加としながら、事実上参加を強制されている場合は注意が必要。

●所定労働時間外に行われる研修や教育訓練が労働時間に該当するかどうかは、就業規則上の制裁などの不利益な取り扱いの有無や、研修等の内容と業務との関連性が強く、それに参加しないことで業務に具体的な支障が生じるか否かといった観点から、実質的に見て参加の強制があるか否かで判断される。

●例えば、自ら担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないような場合の業務見学は、労働時間に該当する。

●行政解釈では、「労働者が使用者の実施する教育に参加することについて、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制がなく、自由参加のものであれば、時間外労働にはならない」(S26.1.20 基収第2875号)とされている。

●所定休日に労働時間に該当する研修を受ける場合、フルタイム勤務で労働時間が週40時間を超えるときは、原則として25%の割増賃金が、法定休日では35%の割増賃金が支払われる。事前に休日と労働日を振り替える(振り替え休日)場合や、代休を取れるケースなど、会社によって対応は異なる。

※本稿は一般企業にみられる相談事例を基にしたフィクションです。法律に基づく判断などについては、個々のケースによるため、各労働局など公的機関や専門家にご相談のうえ対応ください。