重要と思われる内容を
3つ記憶する

 さて、ここで暗記するほど傾聴するコツを教えましょう。

 それは、相手の話の中から、重要と思われる内容を3つ記憶するというものです。

 これは、私が子どもの頃に通っていた塾の先生から習った方法です。

「授業が終わった瞬間に、今日習ったことを即座に3つ言えるようにしなさい」。そう言われてやっているうちに、授業全体を不思議なくらい覚えられるようになりました。「再話」するレベルまではいきませんが、それでも「今日習ったことはこんなこと」と、サマリーを語れる程度になっていました。そうしたら、短期間のうちに成績が驚くほど上がったのです。傾聴力の効果を実感した、最初の出来事でした。

 これを、ビジネスの対話にも応用しましょう。

 相手の話の中で重要なポイントを3つ覚えて、それをもとにサマリーを語れるようにするのです。

 どれが重要かわからなければ、「ポイントだな」と思った単語を、どんどんメモしていきましょう。固有名詞や数字を備忘録として書いておくのとは別に、話の骨格になる言葉を書き留める。そして最後に、もっとも重要そうな3語を選んでマーキング。

 これだけで、次の対話で、前回の内容を「再話」できるようになるでしょう。

 話を暗記するスキルが身につくと、相手の発言のきりのいいところで、「今の発言はこのような理解でよろしいでしょうか?」と、要約を相手に返すことができるようになります。