イライラしていたら、思わず言ってしまいそうな言葉ですよね。では、どうやって子どもと接すればいいのでしょうか。

 実は簡単です。それは、「勉強そのものではなく、その周辺の“できたこと”に目を向けさせる」ことです。私は多くの企業で人材育成や研修を行い、今まで1万5000人以上の目標達成のための行動変容を見てきました。そして行動データを分析してきました。

 その中でわかったことは、目標設定して“できなかったこと”に着目させるやり方は、短期的にはよいが、中長期になると、モチベーションが続かず途中で頓挫しやすいという事実です。中学受験で燃え尽き症候群になる人がいるのは、そのためかと思います。

勉強の“結果”よりも“プロセス”に注目を

 親子できたことノートの目的は「行動変容」です。できたことを自己認識して自分を肯定的に見る目を養うことで、新しい行動を自ら見いだすという主体性を導き出す道具です。

 人が自ら“行動を変えたくなる”ためには、できなかったことではなく、できたことに注目して自己肯定感を向上し、その上で本人が「もっとこうしていこうかな」と振り返りをすることが重要です。

 自己肯定感が低い状態では、「次はこうしてみよう」と自ら工夫するまでには至りません。逆に、自己肯定感が高い状態では、「明日からこうやってみよう」と、次の行動に移りやすくなります。そうした小さな行動の積み重ねが、結果的に大きな成果につながるのです。

 よって、「今日は、算数のテストが80点だった」などと結果だけに着目するのは逆効果です。たいていの人は、テストで80点だったとしても、できていない20点のほうに目を向けてしまうからです。

 もし、勉強面に前向きに取り組んでもらいたいなら、むしろ、勉強をするまでの準備段階など、直接勉強とは関係ないことに積極的に目を向けるようにすると効果的です。要は“プロセス”に着目するのです。この上で週1回、新しい行動を見つけ出すための振り返りを行うことで、行動変容を導き出していきます。