長引くコロナ禍が
独学ブームを後押し

 コロナによる外出自粛や在宅ワークなどにより、自宅で勉強に取り組む人が増加したといわれている。実際、通信講座の「ユーキャン」の受講生はコロナ前に比べて1.5倍に増加したという。他にも『独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』(ダイヤモンド社)が22万部を突破するなど、独学ブームも起きている。

 このような風潮の中、改めて本格的に英語を学ぼうというニーズが英語学習新書の部数を押し上げているのだろう。

「英語学習において避けては通れない単語や文法の暗記は、容易にできるものではありません。にもかかわらず、前述のような軽薄な売り文句の英語学習本、問題集は既存の文法書や辞書を参照しているとは思えないほど幼稚な内容で、その効果には疑問符がつくものもあります。一方で英語学習新書は、大学教員など各界の第一人者が書いているので、内容が確かで安心して学べます」

「聴くだけで英語がマスターできる」といった教材が一時期流行したが、現在は“本格的に学べる”ことが以前よりも重視され始めてきているのだろう。

 とはいえ、英語学習新書が読まれ始めたのは、最近になってからではない。

「1988年発売のマーク・ピーターセン『日本人の英語』シリーズ(岩波新書)は今でも読み継がれているベストセラーです。これ以外にもこれまでに多くの英語学習に役立つ新書が出ています。例えば田地野彰『〈意味順〉英作文のすすめ』(岩波ジュニア新書)は「最初の一冊」としておすすめです。近年では北村一真『英文解体新書』シリーズ(研究社)や倉林秀男『ヘミングウェイで学ぶ英文法』シリーズ(アスク出版)などの一般書がヒットしていましたが、今後は新書サイズでも良書がたくさん出てくるでしょう。新書や一般書、そして学習参考書の中から自分に合った本を選ぶことができる、素晴らしい時代になるのではないでしょうか」