COP26でインド人学者が中国を擁護

 新型コロナウイルスの感染拡大は変異株の蔓延(まんえん)とともに今なお続き、米国の1月3日の1日当たりの新規感染者数は100万人を超えた。一方、ワクチンの公平な分配を目指す国際的枠組み「COVAX」はなかなか機能せず、途上国の人々は感染の脅威にさらされ続けている。世界には依然として南北格差が存在し、その構造は変化することがない。

 昨年開かれた国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、製造業を途上国に移転させながらも、二酸化炭素の排出削減負担を途上国に負わせようとする先進国に対して非難の声も上がった。インド出身の歴史家でジャーナリストのヴィジャイ・プラシャド氏はパネルディスカッションで、「中国は米国のためにナットとボルトを生産し、米国のためにスマホも生産している。これを自国でやったら二酸化炭素排出量がどれだけ増えるのか」と述べた。

 ヴィジャイ氏は冒頭、COP26の開催地である英国・グラスゴーは、かつてインドの労働者を使って生産したジュートの貿易港だとし、18世紀中頃からインドで進められた植民地支配に言及した。

「米国の人口は世界の4~5%を占めるが、世界の資源の25%を利用している」とし、「あなたたちは植民地主義の精神構造で、(途上国に対して)説教したがる」とも述べた。わずか5分半ほどのスピーチだったが、会場は拍手で沸いた。

 インドも中国と同様、13億人超の人口を抱えるアジアの大国であり、将来中国のように経済的に発展すれば、同じようにたたかれる可能性もある。中国とインドは国境の対立はあるものの、二酸化炭素の排出問題に関しては利害関係が共通するのだろう。