ニュースの本丸はこちらのはずだが、メディアが真っ先に飛びついたのはアンケート問題だった。

 アンケートは、隠れた不正の洗い出しを目的として調査委が全従業員を対象に行ったもの。当然、調査委へ直接送るルールだったが、「上司から会社に提出するよう指示された」という相談が複数あった。

 あってはならないことだった。会社側に先立って開かれた会見で調査委は、「都合の悪い話を申告されると困るためということだと思う」と話し、妨害行為として会社側に厳重注意したことを明かした。

 この期に及んで反省の色なし、とメディアは色めき立った。漆間社長は「大変残念に思うが真摯(しんし)に受け止めている」「アンケートの趣旨が徹底されていなかった」と苦い顔で答えるしかなかった。一部の管理職の軽率な行いを恨んだことだろう。

“懲りない会社”の象徴的なエピソードとして、各社が報道に盛り込んだ。

 朝日新聞は12月24日付総合面の記事「次々発覚、不十分な調査 会社側の妨害、調査委指摘」で、閉鎖的な組織が過去の会社側の調査を不十分にしてきた経緯に触れ、今年4月完了を目指す今回の調査の見通しにも懸念を示した。

 NHKも12月24日朝のニュース「相次ぐ検査不正  組織風土の抜本的改革問われる」で、報告書を引用して「物が言えない風土が依然として根強く残っている」と、組織の風通しの悪さを批判した。

 萩生田光一経産相までもが手厳しかった。同日の閣議後の会見でアンケート問題への感想を問われると、「これだけ社会的に批判をされているのに」と語気を荒らげた。検査不正問題全体についても、「あまりにも怠慢」「企業体質に大きな問題」と斬って捨てた。