悪口は人を疲れさせる

 そんなふうに世の中の空気が変わったのはネットなどで悪口や人の悪意を目にする機会が多いからかもしれません。今の世の中には「悪口」があふれています。

 僕も、ネットニュースやSNSなどの悪態コメントをつい読んでしまって、なんだかその後ずっと気分が悪くなることがあります。悪口や、人を一方的に非難するような言葉は、人を疲れさせ、ささくれだった気分にさせます。

 きっと、多くの人は、リアルの世界や、テレビやラジオといったメディアの中でまで、「悪口」や「非難」を聞きたくはないと思っているのかもしれません。

 僕も自分が担当している「ゴゴスマ」では、視聴者の方に「厳しさ」よりも「やさしさ」を感じていただきたいと思っています。視聴者だけでなく、出演者の方にも、番組スタッフにも、いつでも安心して言いたいことを言えるような「温かくてやさしい空気感」を感じてほしい。

 結局それが、視聴者にとっても、出演者にとっても、スタッフにとっても、みんながトクになる、近江商人の言う「三方よし」だと思っているからです。

他人(ひと)はいじるな、自分をいじれ

 僕は、「人を笑わせること」が好きです。プロじゃないけれども、一緒にいる人たちを笑わせたい。笑ってもらえたら、すごく嬉しい。笑いがあふれる空間は居心地がいいし、みんなが幸せな気持ちになれる。もちろん、自分自身もすごく幸せ。「いじり」が難しい時代に、「どうしたら笑ってもらえるか」をよく考えます。

 たどりついたのは、「他人をいじるんじゃなくて、自分をいじればいい」ということ。自分をネタにして、笑いをとるのであれば、他者を傷つける心配はありません。

 とはいえ、この時も、あまりにも自虐的なネタはやめておいたほうがいいかなと思います。コンプレックスを卑下するようなのは避けたほうがいい。聞いているほうが「笑えない」「笑っていいのか迷う」ような話じゃなく、ほっこり笑えるエピソードや軽い失敗談が自分をいじって笑ってもらうのには、ぴったりの話題だと思います。