「男脳」「女脳」炎上…過去にウケたコンテンツの復刻は要注意

 アニメ『おねがいマイメロディ』の中では、幼いマイメロが「ママが~~って、言ってたよ」とママの「名言」「毒舌」を紹介し、周囲が苦笑いしたりずっこけたりするというオチで終わる。その「お約束」を知らない人の目に入ったら驚く内容ではあるし、当時のファンからも現代でそのままやるのは時代錯誤という指摘があった。サンリオだけではなく、10年以上前にウケたコンテンツの復刻を企画する際に、過去と現代の価値観の違いについては、一度ならず検討を重ねた方がよいのだろう。

 少し前には、「男脳」「女脳」コンテンツがはやった。男女の脳には違いがあるから、その違いを理解すれば男女間のコミュニケーションが円滑になるといった主張である。しかし一方で、性差よりも個人差が大きいという説や、「男脳」「女脳」は偏見につながるという指摘があり、こういったコンテンツに拒否感を覚える人も一定数存在する。

 2019年には、ある製菓メーカーが製作した「パパのためのママ語翻訳」アプリが炎上した。「男性脳」と「女性脳」を唱える識者を監修に迎えた企画だった。たとえば、「ママ」が「わかってない!」と言っているときは「正論は求めてない!」という意味で、「じつは共感してほしいだけだよ」とマスコットキャラクターが説明。「仕事と家庭どっちが大事なの?」は、「私は何より家庭を優先してるのに、あなたは仕事ばかりなのがさみしいわ…」と「翻訳」されていた。

 このアプリは炎上後、すぐに公開終了となった。

 実際にどのようなエビデンスがあるか不明であるにせよ、男性脳や女性脳などの診断や心理分析は一時期とても人気があった。パートナーとのコミュニケーションや恋愛の失敗に悩む人へのアドバイスの役割を果たしていたのだろう。毒舌キャラクター、毒舌芸能人による指南もそうだ。

 しかし時代は変わり、属性で人を判断するようなコンテンツを「怪しい」あるいは「危険だ」と感じる人が増え始めた。そのようなコンテンツが「わかりやすい」と単純に好まれていた時代ではなくなりつつある。今回のマイメロママ炎上の背景は、「男脳」「女脳」コンテンツ炎上の延長線上にあると感じる。