では、札幌居住の人はどうかというと、実質的な交通手段は飛行機一択になるはずです。LCCの場合往復1万円ちょっとの料金が出ることもあるのですが、ビジネスで使える航空券ということでいえば大手キャリアの割引航空券利用で、相場としては往復2万5000円前後を覚悟すべきでしょう。

 ヤフーの交通費支給の月15万円という上限は実は税法上の控除額の上限と同じで、これを超える交通費の支給は税法上は給与とみなされることになります。

 そうなると、会社支給の交通費内で往復できるのは月6回程度。それでもITエンジニアであれば遠隔地に住みながらも、制度の中で会社の仕事をこなすことはできそうです。

 ひとつだけ注意点を挙げておきますと、ヤフーの社員で上限の月15万円が交通費として会社から支給されたとしても、あくまでそれは所得税の計算上得をするというだけの話です。厚生年金や健康保険料は会社から支払われた標準報酬月額をもとに算出するのですが、それには交通費が含まれます。

 ですから、月15万円交通費支給の人は、社会保険料は年収が180万円増えたのと同じ計算になります。給与から控除される社会保険料は結構大きいですから、遠隔地居住を目指す方は、一応そのことも念頭においておいたほうがいいとは思います。

 今回のヤフーの新制度のメリットをこのように分析してみると、この制度を活用して恩恵を受けられそうな社員は、一つは新幹線通勤をする人、もう一つが遠隔地居住のリモートワークが主で月数回の出勤が発生する社員、という二つのパターンでまとめることができそうです。