飛行機通勤は今後
一般企業にも広がるのか?

 さて、この動きですが、IT企業がきっかけとなって、他の多くの会社にも広がることになるのでしょうか?

 コロナ禍をきっかけに大企業を中心にDXが広まり、リモートワークが急速に普及しました。同時に、持続的社会をつくるための目標の一つとして、働き方改革が重要視される世の中になってきていることもあります。

 それらを考慮すれば、今回のヤフーの新制度は、今は一部のIT企業で広まる程度の動きだったとしても、5年後あたりにはIT業種以外の一般大手企業でも導入が始まる可能性はあるかもしれません。

 では、そのような企業で働く社員として期待できること、期待できないことはそれぞれどんなことがあるのでしょうか?

 期待できることとしては、会社の制度としてはともかく、自分の仕事の中でリモートワークが増加して、会社に出社する回数が激減するようであれば、自分が住みたい遠くの場所に居住地を定める自由度は増えそうです。

 ただ、それを多くの会社が容認はしてくれても、交通費の補助までしてくれるかどうかはわかりません。

 以下に説明する事情を考慮したら、あまり過剰な期待はしないほうがいいかもしれません。あくまで自分の意思で本社から遠くはなれた場所にマイホームを構え、週に数回、新幹線で出勤することはできるような仕事環境にはなると思いますが、その新幹線代を皆さんが勤務する会社が払ってくれるかどうかは別だということです。

 そもそも大前提の話として、交通費を支給するかどうかは、会社が自由にルールを決められるのが我が国の制度です。ヤフーの場合は、2022年4月1日から居住地自由で1カ月の交通費支給の上限が15万円となるわけですが、この上限の線引きもそれぞれの企業が自由に決められるということです。

 つまり、「ヤフーが新幹線定期を認めてくれているんだから、それを交通費に認めないうちの会社はおかしい」と主張することはできないというか、通用もしない。自分の会社には自分の会社の交通費ルールが存在するのは、当たり前だということです。