地方零細企業が世界で勝負するためのキーワード「D to C」とは?写真はイメージです Photo:PIXTA

中小企業経営は
「鶏口」を目指すべし

「その商売が時代遅れなら、黒字のうちに売却した方が得策だ」と言う人がいる。しかし、時代遅れの産業や古い事業には、見方によっては「競合相手が疲弊している」「新規参入がない」といったポジティブな面もあり、工夫次第で新時代に対応できる素地はある。

 とはいえ、商売の成功のカギを握るのは家業に対する気持ちの大きさだ。「とにかく早く厄介払いをしたい」のか、そうではなく「なんとか生き残りの手はないものか」と必死で食い下がるのか、当事者の正直な心情が透けるものだ。

 中小企業における長期戦略の要諦は「市場の細分化」であり、産業全体で見た成長率や利益率で判断すると自社の将来性を見誤りがちだ。自社が所属する産業をなるべく小さく定義し直すべきで、目下の収益が上がっていないのであれば、自社が「大きな産業界の下位でわずかなおこぼれに甘んじていないか」を考えるべきだ。大きな市場では経営体力に勝る企業と競合することもあり、納入先も大企業の場合には買い叩かれる確率が高いから、どうしても収益性は低くなる。「鶏口牛後」という故事は中小企業のためにあるのだ。