天上のイデアと
地上の実在の二元論

 イデア論も難解で、考えれば考えるほどややこしくなります。

「ものごとには本質がある。それがイデアである。我々が現世で見ているのは本質の模造品である」

 それではイデアはどこにあるのか。

「イデアはいわば魂の眼によって洞察される純粋な形象である」とプラトンは教えてくれます。

 天上のイデアと地上の実在の二元論です。

 おそらく、ピュタゴラス教団の輪廻転生思想(魂は不滅で人は何度も生まれ変わる)の影響を受けたのでしょう。

 パルメニデスの影響を見る学者もいます。

 なお、ギリシャ語の「イデア」(形という意味)には、英語のideaにある「観念」の意味はありません。

 英語ではギリシャ語の「イデア」の訳語に、ideaではなくformを当てるのが通例です。

 この本では、哲学者、宗教家が熱く生きた3000年を出没年つき系図で紹介しました。

 僕は系図が大好きなので、「対立」「友人」などの人間関係マップも盛り込んでみたのでぜひご覧いただけたらと思います。

(本原稿は、13万部突破のロングセラー、出口治明著『哲学と宗教全史』からの抜粋です)