「経営の神様」と称される京セラ名誉会長の稲盛和夫氏は、企業経営の要諦としてまとめた「稲盛経営12カ条」の一つとして「常に創造的な仕事をする」ことを掲げている。稲盛氏は、常に新しいものをやらなければ会社はつぶれるという危機感のもと、新しい技術の開発と事業の多角化に取り組んできた。新しい開発にこだわった理由とは何か。その背景にある信念とは。
※本稿は、稲盛和夫[述]・稲盛ライブラリー[編]『経営のこころ 会社を伸ばすリーダーシップ』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
経営の神様・稲盛和夫が
創業当初から抱いていた“危機感”
創業したときから、私には、常に新しいものをやらなければ会社はつぶれるという危機感がありました。ですから、できる、できないではなしに、創造的なこと、クリエイティブなことをするのが性というか、宿命になってしまったのです。
京セラはブラウン管の部品から始まって、いろいろなものをつくってきました。例えばセラミックスは耐摩耗性が非常に高いので、摩耗しやすい繊維機械の糸道に使えるだろう、ポンプの部品に使えるだろうと、セラミックスが持っている物性の特徴を活かして用途開発をしていきました。
そうしなければ生き残っていけないという危機感から、次から次へと新しいものを展開していったわけです。
京セラというのは、クリエイティブなこと、誰もやっていないことを手がけていくことを宿命づけられた会社です。それが技術開発力を高め、事業の多角化につながっているのです。