セブン&アイ・ホールディングスのデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を巡り、組織間に「あつれき」が生まれた背景にはグループ内の“待遇格差”があった。DX部門トップはグループの最高幹部に比肩する数千万円の報酬が約束されていたのだ。特集『セブンDX敗戦』(全15回)の#5では、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料と取材を基に、組織の「分断」を招いたDX人材の破格の待遇を明らかにする。(ダイヤモンド編集部編集委員 名古屋和希)
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事業会社がDX部門に集中砲火
グループ「待遇格差」が引き金!?
「(DX部門は)もっと事業に寄り添う姿勢を持つべきだ」
セブン&アイ・ホールディングスのデジタルトランスフォーメーション(DX)戦略を主導してきたDX部門に浴びせられたのが、こうした事業会社からの激しい集中砲火だった。
事業会社の“攻撃”で、1年超にわたって進めてきたDX戦略は崩壊することになる。
2021年秋、「司令塔」であるグループDX戦略本部を率いてきた米谷修氏は事実上“失脚”し、DX戦略の目玉だった新会社構想も白紙となった。
実は、事業会社が米谷路線に激しい批判を浴びせたのには裏の理由がある。セブン&アイのある関係者が指摘するのは、DX人材とプロパー社員との“待遇格差”だ。
ITベンダーやコンサルティング会社からかき集めたDX人材の報酬は、グループの他の社員を大きく上回った。その“怨嗟”が米谷路線に対する苛烈なバッシングにつながったのだという。
では、米谷氏を筆頭とするDX人材はどのような厚遇を受けていたのか。次ページから、ダイヤモンド編集部が入手した内部資料や取材で明らかになった、DX人材の具体的な報酬額や好待遇の事例を明らかにしていく。