新春にあたり、急激な変化の中にある物流業界の今後について、カーゴニュースの5人の記者が語り合った。超ロングで熱気あふれる議論の中から、ダイヤモンド編集部が厳選して抜粋し、4回にわたって連載する。2回目の今回は、EC物流の展望について。ラストワンマイル市場はコロナ禍の2020年度に前年比で約3割拡大し、23年度には3兆円規模になると言われている。プレーヤーと業態が混在し、サービスも多様化する中、担い手もギグワーカーであったり、配送手段も軽貨物車から「徒歩」まであり、規制やサービスの棲み分け、プライシングのあり方が難しくなっている。後半では、Eコマース市場拡大によるB to Bへの影響についても議論する。(カーゴニュース)
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EC物流の市場規模は拡大
配達サービスの評価が荷主に直接影響
A EC物流の現状と今後に話題を移そうか。ラストワンマイルも含めて、今いちばん動きが激しい分野だね。
C EC貨物の増加に伴い、今後も市場規模は拡大していく。そこに対し、宅配大手のみならず、大手物流会社やスタートアップなども進出し、各社が切磋琢磨している状況ではないかな。荷主であるEC会社も、無理に運賃をたたいて配達サービスレベルに影響が出れば自社への評価に直結するため、そこまで委託先物流会社を疲弊させることもないように思える。B to Cはそれこそ、配達サービスの評価が荷主の売上に直接影響を及ぼす点がB to Bとは少し異なる。
課題となっていた再配達問題についても、各社の企業努力による受取ポイントの拡大やコロナ禍での非接触受取の浸透――置き配などの広がりを経て、再配達率はやや下がりつつある。あえて言うなれば、駅などの公共の場に設置される宅配ロッカーが、会社ごとに乱立傾向にあることは消費者利益に反するのかもしれない。
E 大手ECなどいくつかのグループがそれぞれにラストワンマイルネットワークを構築している昨今の状況だが、これをより柔軟に相乗りできるようにすれば、ラストワンマイル業界全体としての物流リソースの最適化につながるかもしれず、その辺は先述のフィジカルインターネットの発想につながるかもしれない。とはいえ、現状ではそこまでラストワンマイルを担う人員が不足しているという話も聞こえてこない。