こうした事故を防ぐために降雪時には速度を落として運転するようになった。他にもスプリンクラーで水をまいて雪を舞いにくくするなどの対策も行われているが、バラスト軌道の路盤が緩むため多量の水をまくことはできない。現在ではさまざまな対策により遅延率は大幅に改善しているが、それでも大雪になると減速運転を行わざるを得ないのである。

 東海道新幹線の延伸区間として開業した山陽新幹線に続いて開業したのが、豪雪地帯を走る東北・上越新幹線だ。

 こちらは東海道新幹線の教訓を踏まえ、万全の雪対策を施した。まず線路はバラストを使わないコンクリート製の「スラブ軌道」とし、大量の水をまいて雪を溶かしている。加えて車両の足回りを覆うカバーを付けて損傷を予防した。また、トンネル区間が増えたことで雪の影響を受けにくくなったという側面もある。

 そして2015年に開業した北陸新幹線は、これまで積み重ねられた雪対策の総決算と言うべき路線となり、開業から約7年間、列車に運休が生じたのは除雪体制を上回る積雪(令和3年豪雪)となった2021年1月9日と10日の2日間だけという驚異的な安定運行を実現している。

 2030年に札幌まで延伸が予定されている北海道新幹線も、空港が閉鎖されるような大雪時でも首都圏と札幌をつなぐことができるバックアップ機能が期待されている。

航空機への
雪の影響は

 では実際、航空機はどの程度雪の影響を受けているのだろうか。

 総務省北海道管区行政評価局が2017年に公表した「道内空港の大雪地策に関する実態調査」報告書によると、2016年12月22日から24日にかけて札幌市内で積雪量96センチを記録した記録的な大雪では、新千歳空港を発着する路線のうち22日は59%、23日は72%、24日は25%が欠航となったという。

 北海道新幹線が札幌~東京間を少なくとも4時間半で結び、北陸新幹線と同程度の安定輸送を実現すれば有力な選択肢にはなるだろう。

 もっともこれは記録的な大雪に限った話である。