国土交通省が事業者別に四半期ごとの遅延や欠航の割合を公表する「特定本邦航空運送事業者に関する航空輸送サービスに係る情報公開」を見てみると、新千歳空港を拠点とするAIR DO(日本航空や全日空は全ての便の平均になってしまい比較できない)の、先述の記録的大雪を含む2016年10~12月の天候を理由とする平均欠航率は約1.3%となっており、印象よりも随分低いと感じるのではないだろうか。

 羽田~新千歳便は羽田~福岡便と並び日本で最も利用者の多い路線だ。その数、コロナ以前は年間900万人以上だった。

 北海道新幹線は航空機に真っ向勝負を仕掛ける存在、と思われているが実はそうではない。国交省が着工の前提として試算した想定利用者数は年間約200万人。シェアは航空70%に対し鉄道28%だ(東北新幹線時速360キロ化、北海道新幹線時速320キロ化が決定する以前の試算なので実際はもう少し増えると思われる)。

 そもそも新幹線の輸送力では羽田~千歳便の半分を運ぶことすらできないのだから、シェア争いなどできるはずがないのだ。つまり雪に対して両者が競うのではなく手を携えて、得手不得手をカバーしながら共に立ち向かっていかなければならないのだ。

 ただこれは日常的に大雪が降る地方の話。東京をはじめとする大都市圏の鉄道に限って言えば、数年に一度降るか降らないかの「大雪」のために大金を投じる必要性は薄いように思える(特にコロナ禍以降の経営体力を考えれば)。

 雪が降ればダイヤが乱れる。そういう時は出社(外出)しない。台風接近時の計画運休や、コロナ禍におけるテレワークが定着した今なら、雪にあらがうのではなく、いなすこともできるはずだ。