破綻したエルピーダと明暗
窮地に陥ったルネサスの救済策

 12月11日、経営状況の悪化を懸念されていたルネサンスエレクトロニクスの救済策の概要がまとまった。政府系の色彩の強い産業改革機構とトヨタやパナソニックが官民共同で2000億円の出資を行ない、同社の支援を行なうことが合意された。

 来年9月までに1500億円が払い込まれ、その後必要に応じて産業改革機構が500億円の融資を実施する計画という。

 今回の支援策によってルネサスエレクトロニクスは、当面の資金繰りなどに懸念がなくなり、赤字が続いているシステムLSIなどの事業整理や、得意とするマイコン開発などを行なうことができる。

 同社に対する官民合同の救済策実施の背景には、同社が高いシェアを誇るマイコン事業の存在がある。特に、同社は車載用のマイコン分野では、世界のシェアの約4割を握る有力企業である。昨年の大震災時は、同社工場の操業が停止したことによって、世界的に自動車生産が停滞したほどだ。

 わが国の自動車メーカーは、同社が海外企業に買収されることを懸念しており、それに経済産業省も同調したことが、今回の救済策へとつながった。

 一方、同じわが国の半導体メーカーであるエルピーダメモリは、今年2月に事実上の破綻状況になり、すでに米国大手半導体メーカーのマイクロンの傘下に入っている。同社の主力製品が汎用性の高いDRAMだったため、産業界や経済産業省からは積極的な支援要請が出なかったことが、重要なポイントになった。

 しかし、今後の世界のIT関連事業の展開を考えると、大きな環境変化が予想される。ルネサスを助け、エルピーダを切る判断がこれからどのような結果をもたらすか、予想は難しい。