1%の違いが、長期の運用成績に大きく影響する!

 投信にかかる主なコストには、「販売手数料(購入時手数料)」「信託報酬(運用管理費用)」の二つがあります。

 このうち販売手数料は、投信を買うときに販売会社に支払う手数料で、購入時に一度支払うだけです。

 一方、信託報酬というのは、運用会社、販売会社、受託会社に対して資産の運用や管理を行ってもらうことへの報酬として支払うもので、運用期間中はずっと資産から差し引かれ続けます。

 毎年毎年かかり続けるわけですから、信託報酬は長期の運用成績に大きな影響を与えることになります。

 具体例を見てみましょう。下図をご覧ください。

 たとえば、運用利回りがいずれも年3.5%のAファンドとBファンドがあるとします。信託報酬がAファンドは年0.5%、Bファンドは年1.5%だった場合、二つのファンドの運用成績には、どのような違いが生じるでしょうか?

 1000万円を30年間運用した場合、Aファンドは2427万円まで増えます。

 一方、Bファンドは1811万円にしかなりません。その差は、実に616万円にもなるのです。

 AファンドとBファンドは信託報酬が1%違うだけですが、その一見小さな違いが、長期では大きなパフォーマンスの差となることがおわかりいただけるでしょう。

 投資においては、運用利回りは事前に保証されるものではなく、投資家がコントロールすることはできません。

 しかし、コストは事前に明示されており、投資家が自ら低コストの投信を選ぶことでコントロールできます。

 運用のパフォーマンスを上げるためには、運用利回りを“皮算用”するより、まずコストをできるだけ低く抑えることに意識を向けるべきなのです。