モチベーションが高い人、責任感や使命感が強い人ほど燃え尽き症候群に陥りやすい。やり抜く力が強い人にも共通の特徴といえるだろう。従来は燃え尽き症候群になった場合、長期休暇をとることが対処法とされてきた。しかし近年は、異なるアプローチも提唱されている。

燃え尽き症候群からの
復帰ポイントは「人助け」?

 カリフォルニア大学とペンシルベニア大学は調査に基づき、燃え尽き症候群に対する「復活するためのお返し戦略」を考案した。

「この新たな対処法というのは、あなたの仕事分野で『お返し』することだ。ボランティアでも、指導でも、何をしても構わないが、人助けに集中することが基本となる。人助けすると、脳内の報酬系や快楽中枢が活性化する。すると気分が良くなるし、仕事に再び前向きに取り組めるようになる」(『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』より)

 この戦略では、燃え尽き症候群の原因となった仕事やタスクから距離を置かないことが最大の特徴だ。

 冒頭で紹介した成田選手が再びスノーボード競技に戻ってこられた経緯も、お返し戦略に通じる点がある。成田選手はスポーツの力によって、怪我をした人や障害のある人を励ますことができるという気づきを得た。自分のためだけではなく人を励ますことを目標とした結果、パラリンピック出場に向けて努力を続けられたという側面もあるだろう。

 夢や目標を達成する力は、後天的に獲得することが可能だ。自分を鼓舞させる長期的な目標と、プロセスを明確にするスモールステップを上手く使い分けるのがテクニックといえる。ただし能力が高い人ほど、燃え尽き症候群には要注意。やり抜く力を発揮するためにも、努力している分野で人助けをしてみることをお勧めしたい。

【参考書籍】

『PEAK PERFORMANCE 最強の成長術』(ブラッド・スタルバーグ著、ダイヤモンド社)