「いい面」と「悪い面」両方発信するのが大事

加藤 健康ウェルネスの予防医療の領域って、サウナに限らず、インチキが多いのは、最大の問題点ですね。たとえば、サプリや治療法などでも、マウスでの結果しか出ていないのに、人間にも効果があるようにうたっていたり、よいエビデンスがある一方、ガンの再発率が上がるという悪いエビデンスがあるのに、そちらは隠していたり……。

塩谷 本当にそうですね!自由診療ならなんでもできたり、儲かることしかやらないのは問題です。グレーなものについては、「まだ確固たるエビデンスはありませんが、身体にいい可能性がある」と正直に話すならまだしも、いいところしか言わないことが多い。

【塩谷隆太×加藤容崇 対談】後編<br />2人のサウナー医師が一刀両断!<br />インチキ記事に気をつけろ!

加藤 メディアも分かりやすいものに飛びつきますしね。サウナも、将来的に予防医療としてすごく有望ですが、どこまでが、確たるエビデンスがあって、どこまでがまだグレーなのかは、ちゃんと出していかないと。そういう意味でも、日本サウナ学会では、サウナのいい面ばかりじゃなく、悪い面も両方出して、客観的な情報をみんなに認識してもらうっていうのが、大事だと思っています。

 最近よくある、サウナの回数を誇るみたいな、傾向もよくないですね。

塩谷 取材のときに、必ず聞かれますよね。サウナ歴何年かと、年何回入りますかとか(笑)

加藤 むしろ回数が多いと、健康を害する可能性があるということは、あまり知られてない。

塩谷 そう、運動と一緒なんですよね。適度な、その人に合った取り入れ方をすれば、サウナは身体にいいけど、それは、人によっても、フェーズによっても違う。

加藤 フィンランドの大きな調査では、サウナの頻度が週1回と、週2回~3回と、週4回~7回っていう群に分けられていて、それ以上については調べてないですが、実は、週4回~7回以上入るとどうなるかという研究もあるんです。1週間に10回以上入ると、明らかに入りすぎで逆に有害なことが出てきます。例えば女性であれば、約70%の人が月経不順になります。回数だけでなく、少ない回数でも極端に負荷の大きい入り方を入り方をしていたり、度を超えてサウナに入ることは健康効果が得られないどころか有害なことの方が多くなると思ったほうがいい。

塩谷 そうですね。あくまでいろんな年代層をまとめて出した結果ですので、誰しもに当てはまるわけではなく、当たり前のこととして、入りすぎはよくない。