海外ETFの認知度が低いのは、
証券会社が宣伝してこなかったから
ETFがどんなに良い商品でも、人気がなければ純資産額は小さく、出来高は少なくなってしまいます。
そして、詳しくは後述しますが、実はETFを選ぶ際には「純資産額が大きいもの」や「出来高が大きいもの」を選ぶことが重要なポイントの一つなのです。
この点、国内のETFは種類こそたくさんありますが、一定の条件をクリアする商品はまだ多くはありません。
一方、海外ETFには有力な選択肢となるものがたくさんあります。
これは、世界の市場には数千本ものETFが上場されているうえ、海外ETFはマーケットが成熟しているので純資産額が大きく、取引も活発だからです。
こうした状況から、私は従来、海外ETFを有力な資産運用の手段として紹介してきました。
しかし残念ながら、日本の個人投資家で海外ETFを活用している方はまだ少数派でしょう。
特に、対面の証券会社や銀行を利用し、販売員から薦められるままに投信を買っているようなケースでは、海外ETFという優れた金融商品を知る機会はほとんどないのではないかと思います。
もしかすると、読者のみなさんの中には「海外ETFなんて聞いたことがない、そんな商品に投資して本当に大丈夫なのか?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、ここではっきりいってしまえば、海外ETFの認知度が低いのは売り手である証券会社がまったく力を入れていないからです。
海外ETFの商品性が優れていることは間違いなく、私は、個人投資家がこれを利用するメリットは非常に大きいと思っています。
モーニングスター株式会社 代表取締役社長。
1966年生まれ。1989年慶應義塾大学文学部卒。銀行、証券会社にて資産運用助言業務に従事した後、95年米国イリノイ大学経営学修士号取得(MBA)。同年、ソフトバンク株式会社財務部にて資金調達・資金運用全般、子会社の設立、および上場準備を担当。98年モーニングスター株式会社設立に参画し、2004年より現職。第三者投信評価機関の代表として、常に中立的・客観的な投資情報の提供を行い、個人投資家の的確な資産形成に努める。
主な著書に、『改訂新版 ETFはこの7本を買いなさい』『全面改訂 投資信託選びでいちばん知りたいこと』『つみたてNISAはこの7本を買いなさい』『一生モノのファイナンス入門』(以上、ダイヤモンド社)、『iDeCoで自分年金をつくる』(祥伝社新書)、『お金の未来年表』(SB新書)などがある。