適正なもの・量しか買わなくなる「実感節約」

 そもそも、まとめ買いが最適解とは限らない。食費節約の基本は、買い方・在庫管理・使い切りのゴールデントライアングルであり、それには入り口の「買い物」が肝心だ。ムダな買い物が食品ロスとなり、お金もロスする。

 使い切る調理が苦手な人にはまとめ買いは勧めない。大量に買えば買うほど、その後の在庫管理と使い切りにもテクニックと時間を要するからだ。材料消費のために作りすぎ、食べ過ぎると、それは体重に跳ね返ってくる。今度はダイエットのために浪費することになりかねない。

 ロスにならず使い切れる適量を買うことを目指したいが、これにも落とし穴がある。良かれと思ってセール品をたくさん買ってしまうことだ。「安いから」という理由でどんどんカートに入れていくと、簡単に予算オーバーしてしまう。それを防ぐために試してほしいのが、自分の買い物グセを「実感」することだ。

 まず、食品ストック庫にあるものを全部出してみる。たぶん、同じ食品が複数あるだろう。それを見ると、セールになっているとつい手が出てしまう食品が何かわかってくる。冷蔵庫を開けて見るだけでは気づかない「うっかり買ってしまうもの」を自覚できれば、いくら安くても買いすぎの歯止めになるだろう。

 次は、食品を購入したレシートの出番だ。食品スーパーのレシートを並べてみる。次に明細ではなく、レシート本体の長さを見てほしい。妙に長いレシートばかりという人は、一度に買っている品数が多い証拠だ。品数が多い理由には、「98円均一」「まとめて3品で1割引き」などの、安さに引かれて買わなくても良かったものを細々追加している可能性がある。

 安く買ったつもりが、品数が増えたばかりに結構な金額を払っていないだろうか?

 ムダな大量購入を避けるための対策は2つある。まずカートではなくカゴを手に持つこと、そしてレジに並ぶ前にカゴの中を数えることだ。カートに入れた商品の重みを感じ、さらに数を数えることで量を実感できるだろう。数えているうちに、「これは買わなくてもいい」と気づくかもしれない。レジを通った後に「なんでこんなに買ったのか」と後悔することが多い人はぜひやってほしい。

 なお、財布にレシートがないという人は、それだけ無意識にしている消費が多い可能性が大きい。面倒でも必ずレシートは受け取ろう。