目的2 「個別最適な学び」
子ども1人ひとりの特性に合わせた内容を学ばせる

 課題を抱える子どもたちに対する「プッシュ型の支援」の実現のために、データ連携を行うのだと説明すれば、多くの人が納得してくださるのではないかと思います。しかし、今回の報道で多くの人が心配になったのは「学習履歴の連携」なのではないでしょうか。なぜそのようなものを連携する必要があるのでしょうか。そのことについても触れておきたいと思います。

 最近、文科省が主導する「GIGAスクール構想」によって、小中学校に1人1台端末が整備されています。コロナ禍もあって、海外でも「1人1台端末」を整備した国は多く、その効果検証をした論文がこのところ多数に出版されました。

 一連の研究の含意は、「単に1人1台端末を整備するだけでは子どもたちの学力を上げることはできない」ということです。ペルー、コロンビア、ルーマニアなどでは1人1台端末が学力に与えるプラスの効果はないという結論になっているほか、子どもたちが動画を見たりや音楽を聞く時間が増加した結果、むしろ学力は低下したことを示した研究もあるほどです。

 ですから、単に1人1台端末を整備するだけでは不十分で、その端末をどのように使うかということが重要になってきます。

 そして、一連の研究は、1人1台端末政策がうまくいくかどうかは、端末の導入によって、子どもたちの認知特性に応じた「個別最適な学び」が実現できているかどうかが重要であることを示唆しています。