日産自動車日産ゴーン元会長の役員報酬を過少に記載したとして、金融証券取引法違反の罪に問われた元側近の判決が3月3日に言い渡される。だが、前例のない事件だけに識者の間でも、有罪か無罪か、意見が分かれている Photo:PIXTA

日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告(67)の役員報酬を過少に記載したとして、金融証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元代表取締役グレッグ・ケリー被告(65)と、法人としての日産に対する判決が3日午前10時から、東京地裁で言い渡される。ゴーン被告の海外逃亡により公判は「主役不在」で続いていたが、ケリー被告が問われたのは共謀した罪で、必然的にゴーン被告に対する司法判断でもある。判決の行方が注目されるが、前例のない事件だけに識者の間でも予想が難しいようだ。求刑はケリー被告が懲役2年、日産が罰金2億円。果たして、有罪か、無罪か…。(事件ジャーナリスト 戸田一法)

最大の争点は
「確定した報酬」かどうか

 ケリー被告は米国の弁護士資格を持ち、日産の子会社「北米日産」でバイスプレジデントを務めた後、2008年に日産の執行役員に就任し法務室や秘書室の業務を担当。12年から代表取締役となり、事件発覚までゴーン被告の「右腕」「側近中の側近」とされた人物だ。 

 起訴状によると、ケリー被告はゴーン被告と共謀し、10~17年度のゴーン被告の報酬総額が計約170億円だったにもかかわらず、支払い済みの計約79億円だけを記載した報告書を関東財務局に提出。ゴーン被告の退任後、相談役か顧問として受け取る未払い報酬約91億円を除外したとしている。

 公判では、最終弁論までケリー被告は一貫して無罪を主張。日産は起訴内容を認め、情状酌量を求めていた。最大の争点は、ゴーン被告の退任後に支払われる未払い分が、報告書に記載すべき「確定した報酬」だったか否か、だ。