独立系ITベンダーの富士ソフトが3月11日に開く定時株主総会を巡り、大株主の3Dインベストメント・パートナーズから社外取締役候補に提案されている元みずほフィナンシャルグループ副社長の鳥居敬司氏が、ダイヤモンド編集部の取材に応じた。鳥居氏は、過去の成功体験から抜け出せない企業を「ゆでガエル」に例え、「経営者はマインドを変えなければならない」と強調した。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
物言う株主の株主提案に
富士ソフトが真っ向反論
シンガポールを拠点とする資産運用会社、3Dインベストメント・パートナーズは1月13日、長谷川寛家CEO(最高経営責任者)と元みずほフィナンシャルグループ副社長の鳥居敬司氏を社外取締役候補者とする議案を提出。3D側は、不動産投資などに偏重した富士ソフトの経営を問題視している。
これに対し富士ソフトの取締役会は2月17日、この株主提案に反対する意見を公表。同社は、システム開発や運用などを請け負うシステムインテグレーター(SIer)の独立系では国内最大規模の実績があり、不動産の取得・保有はソフトウエア事業に資する投資だとして真っ向から反論している。
取締役候補の鳥居氏は1971年に旧第一銀行に入行。米州支配人兼ニューヨーク支店長時代の2001年、オフィスがあった世界貿易センターに航空機が突っ込む同時多発テロ事件に巻き込まれたが、社員約400人全員と共に無事に避難した経験を持つ。
みずほフィナンシャルグループ副社長を務めた後、伊藤忠商事社外監査役や東京コカ・コーラボトリング(現コカ・コーラボトラーズジャパン)社外取締役などを歴任。大企業の経営中枢を渡り歩いた鳥居氏は、果たして富士ソフトの経営をどう見ているのか。
――3Dインベストメント・パートナーズの株主提案に対し、富士ソフトの取締役会は反対意見を決議し、2月17日に公表しました。率直な受け止めは。
取締役会で(われわれが)話す機会を与えてくれなかったことは残念だ。私は今回の提案は株主の皆様から支持をいただけると確信している。株主は富士ソフトの改革を望んでいるからだ。
富士ソフトは現状の変化に対応し切れていない。少なくともこの2年間、3Dが投資活動をして外から見た情報では、ガバナンスの面でも資本効率の面でも、変化に乗り遅れている。そうした外部の声を聞いてもらうために3Dは平和的に取締役を送り込み、会社変革の起爆剤にしたいと考えている。
――DX(デジタルトランスフォーメーション)ブームでIT業界は成長産業です。独立系ベンダーとして国内最大規模の富士ソフトも、2013年12月期から8年間連続で増収増益中とのこと。富士ソフトの経営のいったい何が問題だというのでしょうか。