昨年9月に他界した自民党の平成研究会(茂木派)前会長、竹下亘(享年74)の「お別れの会」が3月14日昼、東京・芝公園の東京プリンスホテルで開かれた。コロナ禍のためセレモニーは省略され、参列者は大きな遺影の前に献花して別れを告げた。参院予算委員会の休憩時間を利用して首相の岸田文雄も駆け付けた。司会は自民党組織運動本部長の小渕優子が務め、参列者の中には亘の実兄で元首相、竹下登ゆかりの関係者も多く見られた。さながら旧竹下派の“同窓会”のような空気が支配した。
会場内の壁には、登が元首相の田中角栄に反旗を翻して立ち上げた創政会結成時の写真や、「首相竹下登・官房長官小渕恵三」のツーショットなど旧竹下派の歴史をたどった写真パネルが展示された。なぜこの2人の首相経験者の写真が亘のお別れの会に登場したのか。準備を進めた関係者は「伝統の平成研の歴史を知ってもらいたかった」と語る。
この竹下登・小渕恵三の師弟コンビは共に2000年のミレニアムに相次いで他界したが、最後に心血を注いだのが日韓関係の前進だった。登は日韓議員連盟会長を長く務め、韓国政界とのパイプは圧倒的なものがあった。今では日本社会に当たり前のように溶け込んでいる韓流ドラマや羽田―金浦間のシャトル便は1998年の小渕恵三と韓国大統領、金大中との首脳会談による「日韓パートナーシップ宣言」が原点だった。