照れくささもあると思いますが、日々の仕事は、親が身をもって語れる数少ない事柄のはずです。就活で世間の厳しさを知る中で、「リモートワークをしている親の姿を見て、親はこんなに大変なことをやっているのかと尊敬するようになった」というように、親への見方が変わった学生も多いでしょう。
親は一番身近な社会人です。「食卓での社会人訪問」と私は呼んでいますが、子の就活時には、自分の仕事の話をする機会をつくることも重要です。
子としても、親を社会人として捉え、話す訓練が有効です。学生は普段、10〜20代の人との会話が中心ですが、最終面接では40〜50代のまさに親世代の人を相手に話さなければなりません。こうした世代ときちんと会話ができる「大人会話力」があれば、面接での受け答えもスムーズになります。
就活は、落ちることに慣れるプロセスでもあります。就活生は、結果が出ない時期が一番つらいので、ささいなことでも成功体験を積むことが解決になります。受ける企業の母数を一定数確保するのはそのためです。
落ちても、否定されたと捉えず、評価してくれる人もいればそうでない人もいる、タイミングが合わなかっただけ、ご縁がなかっただけと考えるバランス感覚が重要です。そう思うことができれば、切り替えて次に進めます。
就活で悩む子どもに親が
かけるべき「魔法の言葉」
落ちたとき親はどう接するか。子がふさぎ込んでいる場合、そっとしておく、ということも大事ですが、とはいえ、そこで止まってしまわないよう、サポートすることが大事です。
魔法の言葉は、「ありがとう」です。「相談してくれてありがとう。なぜその企業を受けることにしたの?」と、会話のクッションにします。親子だからと「部屋を片付けなさい」と言うのと同じスタンスで会話してはいけません。肯定し、感謝する。仕事の取引先と話すくらいの気持ちが必要です。
家族には少し言いにくいかもしれませんが、このようにスイッチの切り替えができるかどうかが、子と就活の話ができるかどうかのカギになります。
今からでもできること、やるべきことはたくさんあります。皆様の健闘を祈ります。