「この株は売り? それとも買い?」「儲かる株はどっち?」まるで投資シミュレーションのようにクイズを解きながら「株で勝つ技術」を身につける画期的な1冊『株トレ――世界一楽しい「一問一答」株の教科書』が発売された。著者は、ファンドマネジャー歴25年、2000億円超を運用してTOPIXを大幅に上回る好実績をあげたスペシャリストの楽天証券・窪田真之氏。調子がいい時もあれば悪い時もあるのが株式投資。窪田氏に損失ばかりが続いてしまった時の対処法を聞いてみた。
なかなか売り切れずに利益がチャラになったことも
──窪田さんは25年にわたってファンドマネジャーとして活躍してきました。その観点から、個人投資家の有利な点、不利な点はどのように見ていますか。
窪田真之さん(以下、窪田):ファンドマネジャーをしているとき、
ファンドマネジャーは、100株や1000株買うだけではだめで、何万株も買わないと意味のあるポジションになりません。だから、買うのに時間がかかります。100株や1000株買えば十分な個人投資家は、上がりそうだと思ったらすぐ買えて、ダメだなと思ったらすぐ売れるのでうらやましいと思いました。
──機関投資家は保有株数が多いため、ダメだと思った株を売り切るのが大変ですね。
窪田:そうなんです。かつて、とある株を買い、5割ほど上がったのでそろそろ売らないといけないと思ったのですが、私は自分のルールとして日中の出来高の3割までしか売らないと決めていました。大量に売ると、その売りのせいで株価が下がってしまうからです。そのため、日中の出来高が1万株なら、毎日3000株ずつ、時間をかけて売っていかなければならないのです。
そうこうしているうちに、その株に悪材料が出て株価が急落しました。それ後も売り続けたのですが、なかなか売れません。やっと売り切った時には、5割ほど上がっていた株価が元の木阿弥になっていました。
調子が良くない時は休んで態勢を立て直す
──ファンドマネジャーは利益を出すことが仕事ですので、なかなか休みづらいと聞きます。個人投資家は投資が仕事ではないため、相場つきが良くない時や調子が良くない時に休むことができるのもメリットと言われます。
窪田:そうですね。ただ、私が運用していたアクティブファンドは東証株価指数に負けなければ良いので、手持ちのポートフォリオを東証株価指数に近づければ指数に負けにくくなります。そのようにして小休止することはできました。
──休むのはどんな時ですか?
窪田:調子が良くない時です。自分の考え方が根本的に間違っていたり、原因がよくわからず、何をやっても勝てないという時があるものです。そういう時は、とにかく出血を止めることが先決です。そのために、いったん東証株価指数と同じように動くポートフォリオにして、指数に負けないようにします。その上で、自分のポートフォリオを見直したり、次の手を考えたりして、次に大きく勝てそうなタイミングを待ち、再び動きはじめるのです。
──休む時間を作って態勢を立て直すのですね。
窪田:休むことでじっくり考える時間ができます。「休むも相場」という言葉があるように、個人投資家も機関投資家も、調子が悪い時には休むという選択をすることが大事だと思います。
──無理に売買するとかえって傷を広げてしまうこともあるのですね。
窪田:負けているということは、負けている原因があります。ポートフォリオの中で下がっている銘柄があるはずですから、その銘柄をきっちり見極めることが大事です。例えば、13週移動平均線が下がり続けているなら売ってしまうとか、そういう対応が必要だと思います。
ただし、休んでいると言っても、
楽天証券経済研究所 所長兼チーフ・ストラテジスト
大和住銀投信投資顧問などを経て、2014年より楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト。2015年より所長兼務。日本株ファンドマネジャー歴25年。年間100社を超える調査取材をこなし、公的年金・投資信託・NY上場ファンドなど20代で1000億円以上、40代で2000億円超の日本株運用を担当。ベンチマークである東証株価指数(TOPIX)を大幅に上回る運用実績をあげてきた。楽天証券では2014年から現在まで、同社投資メディア「トウシル」にて月曜日から木曜日まで「3分でわかる!今日の投資戦略」を連載。月間200万ページビューを超える人気コラムとなっている。主な著書に『株トレ 世界一楽しい「一問一答」株の教科書』(ダイヤモンド社)がある。