色で印象戦略を行う近年の大統領選
では、近年の大統領選では、どのような印象戦略が行われていたのでしょうか。
2009年から2017年まで大統領を務めたのが、バラク・オバマ。オバマのトレードマークは民主党のカラーである、ブルーのネクタイです。濃紺のスーツは若々しくも頼れるリーダー像として多くの国民から支持を得ることができました。
2016年の大統領選は、かつてないほどの激戦となりました。共和党の候補者はドナルド・トランプ、民主党はヒラリー・クリントンです。選挙カラーは、トランプ陣営はご存じのように赤。トランプの主張する強いアメリカを象徴するカラーで、彼がいつもつけているネクタイは幅広、普通より長めにした特注品で、大統領たる威厳を感じさせました。
一方のヒラリー陣営は清廉潔白な白をテーマカラーに選びました。しかし、激しい選挙戦では、赤の持つ強いパワーに対して、無彩色の白はどうしても印象が弱くなってしまいます。
結果は前評判の予想を裏切る形で、トランプの勝利。米国は戦闘の赤、熱血の赤を前面に押し出した「強いアメリカ路線」へと舵をきることになりました。
後の2020年に行われたトランプVSバイデンの大統領選では、トランプの持つ赤のイメージが、コロナ禍のワクチンやマスクを誹謗する過激な印象と重なって逆効果に。その結果、バイデンの勝利となりました。
このように、近年の米国の大統領選では色を巧みに印象戦略として活用しているのです。