思い悩まず
「歴史思考」で楽になろう

悩みが吹っ飛ぶ!「歴史思考」を知れば、人の評価なんて気にならなくなるPhoto:竹井俊晴

――時代によって、価値や常識の概念はガラッと変わるわけですね。

深井 僕がここまでお話してきたことに対して、もしかするとみなさんは違和感を抱くかもしれません。でも、「良いことをすれば、良い影響を与える」「悪いことをすれば、悪い影響を与える」というのは僕たちの思い込みだと思うんです。僕たちは、自分たちの与える影響がどんな結果を引き起こすのかはコントロールできない。それは、歴史を勉強していくとよく分かります。

『歴史思考』ではたくさんの偉人を紹介しています。みんなすばらしい成果を出しているし、偉大な人物でもあると思います。彼らの人生を知るだけでも元気が出るでしょう。ただ、誤解してほしくないのは、偉人たちを取り上げたのは、「彼らを見習ってスゴイことをやれ!」と伝えたいからではありません。

――どちらかというと、そういった思い込みを捨ててほしい、ということでしょうか。

深井 みなさんの常識や価値観を全部手放してほしい、と言っているわけでもありません。伝えたいことは、僕たちは何もせず、ただ存在するだけでも周りに影響を与えている、ということです。そして、それを歴史という長い時間で見てみると、小さい影響しか与えていないのか、大きな影響を与えているのかは、すぐには分かりません。また良い影響を与えているのか、悪い影響を与えているのかも、どの側面から見るかによって変わるので、一概には評価できません。

――それでは、人生でこれからどうすればいいのか分からなくなりますね。

深井 分からなくなりますよね。でも、そもそも、「こう生きるべし」なんていう簡単な答えを伝えても、分かったつもりになるだけで、それが通用するとは思えません。結局、簡単な答えは使いモノにならず、やっぱり「どう生きればいいのか」という問いに改めて直面することになる。これを考える時に力になるのが、古典や歴史といった教養です。多くの人々の人生や歴史的な出来事を知ることで、自分の置かれている状況が客観的に分かるようになります。

 変化の激しい現代では、揺るぎのない何か大きなモノに寄りかかって人生を送ることはできません。「どうすればいいか」という正解を教えてくれる人もモノもありません。唯一できるのは、自分で考え続けることだけなんです。この時に、古典や歴史を知っていれば、「どうすればいいか」を考える手がかりになる。手がかりがあることで、僕たちは「どうすればいいか」が分からないまま絶望したり、打ちひしがれたりせず、少し楽になって、希望を持って考えることができるようになるのではないでしょうか。

【第1回】「どうして、教養がない人ほど悩み込んでしまうのか」
【第2回】「会社が資金ショート!「歴史思考」が人生の危機を救ってくれた」
【第3回】「激動の時代を生き抜く最強の方法、それが歴史を通した「メタ認知」だ」

悩みが吹っ飛ぶ!「歴史思考」を知れば、人の評価なんて気にならなくなる深井龍之介(ふかい・りゅうのすけ) 株式会社COTEN代表取締役CEO
島根県出雲市出身。大学卒業後、大手電機メーカーや複数のベンチャー企業の取締役や社外取締役などを経て、2016年に株式会社COTENを設立。「メタ認知を高めるきっかけを提供する」をミッションに掲げ、3500年分の世界史情報を体系的に整理。数百冊の本を読んで初めて分かるような社会や人間の傾向・行動パターンを、誰もが抽出可能にする「世界史データベース」を開発中。COTENの広報活動として「歴史を面白く学ぶコテンラジオ(COTEN RADIO)」を配信。2019年には「JAPAN PODCAST AWARDS2019」で大賞とSpotify賞をダブル受賞。Apple Podcastランキング1位を獲得。
悩みが吹っ飛ぶ!「歴史思考」を知れば、人の評価なんて気にならなくなる