世界中がロシアの味方をした理由

 当時のロシアが世界市場へ供給できるものは、原油や天然ガス、木材、レアメタルなどの原燃料くらいしかありませんでした。実に総輸出額に占める原燃料の割合がおよそ8割と高い水準でした。

 1997年のアジア通貨危機の余波で当時の世界経済が悪化し、製品が売れなくなると、その原燃料の需要が小さくなっていきました。

 結局ロシア危機によって通貨ルーブルが安くなっていきましたが、世界経済へ与える影響が大きいと考えられたため、「世界中がロシアの味方」をしました。しかし、現在のルーブル安については「自業自得」であるため、世界市場がロシアを支援する動きはみられないでしょう。

 1998年のロシア危機によってルーブルが安くなると、却ってそれが功を奏したのか、ロシアは世界的な穀物輸出国へと成長していきます。

 それに加えて、単位面積当たり収穫量(単収)が増大し、生産量が増加したことも要因の一つです。また、2000年代前は肉類需要の回復がそれほど見られず、飼料用穀物の消費量が大きく増加しなかったため、輸出余力が増大したことも要因の一つと考えられます。