イチローやジョコビッチも実践するヨガ、「過剰同一化」を防ぐ効能とは?ヨガがメンタル面にも与えるポジティブな影響は、想像以上だ(写真はイメージです) Photo:PIXTA

一流のアスリートは、ヨガをトレーニングに取り入れることが多い。脅威の柔軟性を武器に世界ランキング1位を獲得したテニス選手のノバク・ジョコビッチ氏、10年連続200安打を達成した野球のイチロー氏が、ヨガを実践していたことは有名だ。ヨガには柔軟性アップやインナーマッスル強化など身体面のメリットのほか、メンタル面にもポジティブな影響を与える。書籍『DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー(2019年5月号)』に寄稿された論文を参考に、ヨガが持つマインドフルネスのメリットを探る。(文/フリーライター 鈴木 舞)

世界的ブームの「ヨガ」
起源はインダス文明まで遡る?

 ヨガの起源は紀元前のインドに遡る。インダス文明時代の遺跡からもヨガが行われていたらしき出土品が発見されており、その歴史の長さを感じさせる。

 一般社団法人全日本ヨガ協会のHPによると、ヨガの起源は紀元前2500年のインダス文明。古代インドの宗教・哲学書『ウパニシャッド聖典』に、ヨガに関する記述が見られるという。その後は、ヨガを体系的にまとめた経典『ヨーガ・スートラ』が編纂され、さまざまな流派が生まれながら、ヨガは現代へ受け継がれてきた。

 ヨガの概念が生まれた当時、ヨガは修行のための精神統一の手段として行われた。現代のヨガは呼吸法を実践しながらポーズをとる動的なヨガが中心だが、『ヨーガ・スートラ』は座位中心だったという。瞑想を主な目的とし、静的なヨガが行われていたのである。

『ヨーガ・スートラ』には、ヨガの基本原則「ヨーガの八支則」が記された。「ヨーガの八支則」の内容は現代のヨガにも受け継がれており、「感覚のコントロール」や「精神集中」「瞑想」などが含まれている。その後もさまざまなヨガの流派が生まれるが、ヨガが持つ精神統一の要素は脈々と受け継がれてきた。

 現代においてヨガが世界的なブームとなっているのも、こうしたマインドフルネス効果によるところが大きいだろう。