業績評価は、「コミット&ターゲット」の2段階の目標を設定し、それぞれの等級で目標レベルの目線が合っているか、組織や本部単位で確認して評価の納得感を高めている。業績以外にも、グローバルで共通のコンピテンシー基準を設定して「グローバル視点」や「戦略的に考える」など、7つのコンピテンシー評価を実施。四半期ごとに、業績の進捗状況やコンピテンシーの発揮状況について振り返りをする。
働きがいにとって評価の納得感は欠かせないため、仮に低い評価になった場合にも、厳しいフィードバックと温かいコミュニケーションで成長を支援できるよう、管理職に指導や研修を定期的に実施しているという。
成果に応じたメリハリのある
評価を実現するための工夫
成果に応じたメリハリのある評価を実現できるよう統計上の工夫もしている。評価者はどうしても、極端に悪い評価や良い評価を避けるため、評価の分布が標準に集まる「中心化傾向」になりがちだ。そこで、「5段階評価の上と下にめりはりをつけるような設計にしている。ゆくゆくは相対評価から絶対評価に変えていきたい」(矢野氏)。
評価とは別に「CHUGAI AWARD」という社内表彰制度もある。海外を含めた全社員が対象で、トップイノベーター賞、ペーシェントセントリック(患者中心)賞、インテグリティ(誠実さ)賞などが設けられ、部門ごとにノミネートされ、表彰される。
特に同社では、薬の開発と一口に言っても、研究開発、製造、薬事、営業などを一気通貫に機能横断するチームで実施しており、個人だけでなくチームも表彰対象になっている。決まった部署の決まった役割だけがその企業の花形なのではなく、どの社員にも1人ひとりが自分の役割や貢献を実感できるという働きがいを、再確認できる制度と言えるだろう。
自律的に働く姿勢を重視する仕組みは、基本的な目標や業績評価制度にとどまらない。管理職に職務等級制度を導入したことで、各ポジションに求められる職務や成果責任、人財要件などを全社に公開し、自律的なキャリア開発や上位ポジションへのチャレンジを支援している。また、担いたいポジションに自ら手を挙げて応募できる社内公募も拡充した。これまで年1回だったチャンスが年2回に増えたのだ。