午後のワイドショー「ゴゴスマ」(TBS系)を、東海ローカルから全国の人気番組へと躍進させた立役者である同番組MCでフリーアナウンサーの石井亮次氏が「話し方の極意」を初めて明かした『ゴゴスマ石井のなぜか得する話し方』が1月12日に発売になった。
上手にしゃべることではなく、相手を楽しませて、場の空気をよくすることを目標にかかげ「他人(ひと)はいじるな、自分をいじれ」「会話は合気道」「究極のほめテク」など、サービス精神にあふれる独特の会話術を披露。話し方で損をしているすべての人の救世主ともいえる本書から抜粋し、具体的な話し方のテクを紹介する。

新社会人に伝えたい<br />ほとんどの人がやってない<br />簡単でいちばん大事な仕事のコツPhoto: Adobe Stock

挨拶は、ノーリスク、かなりハイリターン!

「挨拶しなさい」というのは、親から教えてもらったことの中でも、とても大事なことだと思っていますし、僕も子どもたちにはそう教えています。

 もっとも、そんなこと昔から当たり前に言われてきたことですし、いまさら僕が言うまでもないですよね。社会人になった時も、入社時の研修で「社内ですれ違った人には必ず挨拶しましょう」と教えられました。それほど「挨拶」は大事だと教えられ続けてきたはずなのに、実は、挨拶をちゃんとしている人って案外少ないのかも……と、ある時、気づきました。

 僕は教わったことやマニュアル本で学んだことで「ええな」と思ったことはすぐに実行するタイプなので、挨拶に関しても「社内ですれ違ったら、誰にでも」を愚直に実行してきました。

 入社10年目くらいの時だったでしょうか、美術スタッフさんから「石井君くらいや、アナウンサーで挨拶してくれるの。嬉しいわ。みんな喜んでるで」と言われたことがありました。「え、挨拶だけで喜んでもらえるんや!」とすごく嬉しかった。しかも、簡単なことなのに実行しない人が多いということにもびっくりしました。

挨拶で大事なのは「相手を選ばない」こと

 挨拶で大事なのは、「相手を選ばない」ということだと思います。

 廊下ですれ違った時、エレベーターで一緒になった時、相手によって「する」「しない」の使い分けはしない。いつでもどこでも誰にでも。僕は、トイレの中で横に並んだ時にも「おつかれさまです」くらいの挨拶は必ずするようにしています。

 一対一で挨拶をして、相手から返ってこないということはほとんどないと思いますが、それでもたまには知らん顔されることもあります。大勢に向けた挨拶はもっと無視される可能性が高い。勇気を出して挨拶をしながらフロアに入ったのに、誰一人こちらを向きもしないこととか、よくあるんじゃないでしょうか。

「挨拶を無視するなんて、何様やねん!」と思う時もありますが、ここは割り切りましょう。挨拶はひとりごと。挨拶は自己満足。自分が気持ちよかったら、それでOK。

 それでも、続けていたら見てくれている人は必ずいるし、案外「あいつ、かわいいヤツやな」と思ってくれているかもしれません。ファストフードで「スマイル0円」というのがありますが、挨拶も0円。コストが0だけでなく、リスクも0。だって、挨拶をして怒られることはありませんからね。

 所詮、自己満足なんですから、いっそ高みに立ったつもりで“慈愛に満ちた気持ち(笑)”で挨拶するのがお勧めです。たまにニッコリ笑顔で挨拶が返ってきたら、超ラッキー。そのうち僕の経験みたいに、「挨拶してる」というだけで、思わぬ人から思いがけない高評価を得られることだってあるかもしれません。