市場価値を高めるために何をするべきか

「自分の市場価値を考える」というテーマには、東大金融研究会でも取り組んでいます。

たとえば、メンバーには「小学校3年生の頃から親が自分にいくら投資したかを書く」というワークに取り組んでもらいます。計算してみると、塾代や短期留学の費用などで大学を卒業するまでに2500万~3000万円かかっているケースが多いようです。

それに対して、自分の市場価値の変遷も書いてもらいます。

通常、高校時代まではほぼゼロでしょう。大学1年生になってアルバイトをするようになると「家庭教師で月々10万円稼げるので、年120万円」などと考えます。市場価値は「背伸び」してもよく、たとえば「大学を辞めて家庭教師を専業にしたらいくら稼げるか」と考えても構いません。

こういった計算をすると、大学2年生の段階で250万~300万円ほどになることが多いようです。

大学を卒業して外資系金融に就職できた場合、新卒の年収はだいたい1000万円が目安です。つまり外資系金融を目指すということは、250万円の市場価値の人が、今後2年間で自分の市場価値を750万円分上げ、1000万円にしなければならないことになります。

では、何がどう変化すれば自分の市場価値を750万円も増やすことができるのでしょうか?

私は、この解像度を高めた人が内定を得ると思っています。

ですから学生には「自分の目標と現在の差分」を常に意識するように伝えています。差分を意識し、解像度を上げることができれば、その差分を埋めるためにやるべきことが見え、活動に着手できるからです。

(本原稿は、伊藤潤一著『東大金融研究会のお金超講義 超一流の投資のプロが東大生に教えている「お金の教養と人生戦略」』から一部抜粋・改変したものです)