オードリー若林に立てた「ある仮説」

──番組を作る上で、出演者さんと交渉をするときも、相手が辿り着きたいゴールを予想するのでしょうか。

佐久間:出演者さんの場合も基本的には同じで、「この番組への出演が、相手のキャリアにプラスになる理由」はしっかりと説明するようにしています。

たとえば、事前アンケートがなく、ゲストが本音で語るフリースタイルのトークバラエティ「あちこちオードリー」が生まれたきっかけは、「今の若林さんは、決まりきった台本通りの仕事をするのに飽き飽きしているんじゃないか?」と仮説を立てたことでした。

その当時は、若林さんが人に対してすごく興味を持ち始めた時期だったんです。最初は人見知りで、世間に対してある程度閉じた考えを持っていた彼が、芸能界で荒波に揉まれる中で、少しずつ変わってきていた。

そういう姿を外から見ていたとき、以前より周りに興味を持つようになったのと同時に、毎回同じ仕事をしていくことに対する退屈さも感じているんじゃないか、という予感がして。だからこそ、今のオードリーがトーク番組を持てば、あまり見たことのない、おもしろいものができるんじゃないかと思ったんです。

毎回セッションのように、ゲストによって出てくるものは変わる。どうなるかわからないし、振り幅は大きいかもしれないけれど、それでも奇跡みたいな番組ができるんじゃないか、と。そんな仮説を立てて、「アンケートや台本がないトーク番組をやってみませんか?」と提案したのがはじまりでした。

──毎回仮説を立てて仕事に臨むことの重要性は、佐久間さんのの中でも度々語られていましたよね。

佐久間:結局、仮説検証の積み重ねだと思うんです。僕自身も、上司としていろいろな仕事にチャレンジさせたくなったり、「こいつはどこかでブレイクしそうだな」とつい期待する人は、やっぱり毎回の仕事に仮説を持って、その人なりの知見を貯めている人ですね。

だから、自分が取り組んでいる仕事やプロジェクトが会社のどのポイントで貢献できるのか、自分自身が理解できているか? 上司が望むゴールをきちんと理解できているか? と、常に自問自答できるようにすると、評価される人になりやすいと思います。

「評価されやすい人」と「されにくい人」の決定的な違い